研究課題/領域番号 |
26861512
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
清水 梓 順天堂大学, 医学部, 助教 (00407272)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多血小板血漿 / ゼラチンハイドロゲル / β-TCP / 頭蓋骨新生 |
研究実績の概要 |
①徐放化PRP(多血小板血漿)の作成:Fisherラットの採取血液からPRPを作成した。PRP単独、ゼラチンハイドロゲルを加えた徐放化PRPとして培養液中で保存した。比較のためPRP作成時に使用した抗凝固剤によりEDTA群、ACD-A群として以降の実験を行った。 ②標本の採取および解析: PRPから放出される各成長因子量を経時的に測定した。成長因子量はPDGF-AB、IGF-1においてはEDTA群が高値、VEGFではACD-A群の方が高値、HGF、TGFβ-1では各群とも同程度であった。一方、動物実験における骨新生表面積率はEDTA群の方が高値であった。以上の結果から抗凝固剤はEDTAを用いることとして、本実験を行った。徐放化PRPの成長因子量計測は今後行う予定である。 ③ラット頭蓋骨欠損モデルの作成と頭蓋骨形成促進効果検証:頭蓋骨欠損モデルを作成し、PRP群、徐放化PRP群、PRP+β-TCP群とした。現在までにモデル作成は終了し、μCTおよびHE染色として結果を検討中である。μCTによる評価の際、β-TCPと新生骨との区別がつかずに新生骨形成率が正確に計測できなかったため、μCTをマクロ画像として骨新生を評価した。 ④研究の意義:PRP調整方法は各施設で異なっており、使用する抗凝固剤についても確立された方法はない。使用する抗凝固剤について比較した報告はあるが、経時的に成長因子を計測したもの、さらに動物実験を併用した報告はほとんどないため、今回の研究で抗凝固剤について評価できたのは有意義と考える。またμCTによる骨新生率の評価では徐放化PRP群が高値となっており、徐放化PRPの使用は骨再生期間を短縮させる可能性が十分にある、という結論を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回の研究経過として、①PRPおよび徐放化PRPの作成、DMEM培養液中での保存および検体採取、②各成長因子の計測(PRP単独のみ)、③ラット頭蓋骨欠損モデル作成および検体採取、μCT撮影、HE染色標本作成までは終了している。徐放化PRPの成長因子計測、各特殊染色ならびに免疫染色は未実施であり、当初の実験計画よりやや遅れている。PRP作成時に使用する抗凝固剤によりPRPからの成長因子放出量に差が出ることが判明し、抗凝固剤についての検討に時間を費やしたためと考えている。徐放化PRPおよびβ-TCP 使用による骨新生促進については、マクロでは確認済みであるが定量評価は計測中である。以上より研究目的に対する達成度としては、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは採取した検体の分析を詳細に行う。具体的にはHE染色標本による骨新生表面積率の計測と分析を行う。さらに各特殊染色、免疫染色を行い、骨代謝関連遺伝子発現を評価する。またPRPと徐放化PRPに対する、in vitroとin vivoでの効果の違いなどを評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中に実施予定であった標本評価が終了しておらず、そのため各種抗体などが未購入となっている。また機材費や画像フィルムなど、申請していたものの結果的に不要となった経費があったためと思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
各種試薬、抗体は次年度以降購入予定である。また前年度で不要となった分の機材費、画像フィルム代などでさらに抗体を購入し詳細な検討を加える予定である。
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