研究課題/領域番号 |
26861518
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
金本 匡史 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (40619053)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | スキンコンダクタンスモニター / 鎮静評価ツール |
研究実績の概要 |
健常人(60歳以下の8名)を対象に、スキンコンダクタンスモニター(SCM)を装着し、下記に示す各種刺激を行いコンダクタンスの変化量を測定した(この実験は臨床試験審査委員会で承認済みである:群馬大学臨床試験部 管理番号1031)。 A)熱刺激:設定温度は39、46、47、48℃とし、各刺激の間は10分とした。B)冷刺激:アイスパックを被験者の前腕内側に当てて測定した。C)機械刺激:一定の圧(250kPa:先端のサイズ1cm2)で指のみずかき部分に機械的刺激を与えて測定した。D)画像刺激:被験者に痛そうな画像を見せ、それが実際に自分におきたものとして想像してもらい測定した。E)音刺激: 85dBのノイズ音をヘッドホンで聞かせて測定した。 各種刺激時にバイタルサインデータの取得を行った。心電図モニター(日本光電社製 ベッドサイドモニター life Scope B BSM-7105)を装着して、心拍数、Heart rate valiabilityの変化を解析。さらに、パルスオキシメーター(OLV-3100)を装着し、動脈血中酸素飽和度の振幅変化も計測した。 結果は、機械刺激で最も変化量が大きく、熱刺激では温度が上がるとともに変化量も増加した。冷刺激、音刺激、画像刺激では変化量は認められなかった。 これらの結果から、SCMは刺激による交感神経の変化の中でも特に疼痛に近い刺激による変化によく相関し、客観的鎮痛評価ツールとしての可能性が高いと示唆された。 臨床では食道癌術後患者に気管内挿管チューブ抜管前後のSCM装着、測定を行ったが、患者により値が安定せず更なる対象患者数を増やしているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常人では交感神経の興奮を捉えるモニターとしてSCMが有用であると示唆された。しかし臨床では食道癌術後患者をメインにICUにて鎮静評価ツールとしてのSCM装着・測定を行っているが、患者によって値にバラつきが多い。また、対象患者も想定していた数より少なく、更なる患者数の調査を行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
ICUにおいてどのような手技が患者にストレスを与えているのかを、スキンコンダクタンスモニター、心電図モニター、パルスオキシメーターを装着し、測定値を行動学的鎮痛評価ツールであるBPSやCPOTの結果と比較する。その後、これらのデータを解析し、それを基に鎮痛プロトコールを作成する予定である。対象患者を食道癌術後のみではなく、その他患者を対象に測定することで、更なる症例数獲得を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ICUにおいてどのような手技が患者にストレスを与えているのかを、スキンコンダクタンスモニター、心電図モニター、パルスオキシメーターを装着し、測定値を行動学的鎮痛評価ツールであるBPSやCPOTの結果と比較する。その後、これらのデータを解析し、それを基に鎮痛プロトコールを作成する予定である。対象患者を食道癌術後のみではなく、その他患者を対象に測定することで、更なる症例数獲得を目指す。
|
次年度使用額の使用計画 |
ICUにおいて更なる対象患者を獲得し、それら患者のSCM測定のための消耗品(電極費用)、交感神経の興奮値として血中・尿中カテコラミン測定等の費用に用いる予定である。
|