平成26年度の推進方策に則り、免疫機能解析を行うため敗血症モデルマウスの作製に着手した。一般的に用いられる敗血症モデルマウスには盲腸結紮穿刺モデルとリポ多糖投与モデルの2種類がある。当初、盲腸結紮穿刺モデルマウスを作成したが穿刺孔の大きさ、穿刺回数、穿刺部位などで侵襲の大きさが大きく変わることに加え、それらを同様にしても個体毎の糞便の性状、腹膜に排出される菌体数によって、腹膜炎の重症度が異なり生存率が安定しなかった。このことは疲弊B細胞と同様のphenotypeを有するB細胞群のような少数の血球群を観察するのに不向きである。一方、リポ多糖投与モデルマウスでは、20mg/kgの腹腔内投与により、投与後48時間での生存率は20%程度(その後の生存率は1週間後も一定)であることが確認できた。しかし、リポ多糖の投与は実際の感染症と異なり、極短期間のシグナル伝達となるため、自然免疫より遅れて生じるB細胞の誘導をみることに適していない。 以上より、本研究を遂行するために新しい敗血症モデルマウスを用いる必要があると考え、我々はマウスの糞便より採取した大腸菌のシングルコロニーを培養し、尾静脈より静注する菌血症モデルマウスを作成した。本モデルでは、大腸菌投与48時間での生存率が30%程度で安定、さらに採取した血液をLB培地上で培養により大腸菌コロニーを確認できた。本モデルは個体間での菌体数の差異や腸管内常在菌の種類が異なることによる影響を受けない敗血症モデルであり、本研究の遂行に用いるために適切なモデルであると考えられ、現在研究を進行中である。 加えて平成26年度の研究実績として報告した、敗血症患者における末梢血B細胞の免疫能解析結果については、SHOCKにてacceptされている。
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