〈目的〉重症敗血症では、過剰な免疫抑制状態が生じると予後不良を来す。敗血症病態において単球系細胞が貪食能低下や細胞死を起こすことがわかってきており、我々はその細胞内情報伝達系として小胞体ストレスの変化に着目し、様々な病態制御に関与しているmicro RNA(miRNA)の発現による影響を検討し、敗血症病態に対する遺伝子治療の可能性を検討することを目的としている。 〈方法〉重症敗血症患者のヒト単球・マクロファージを分離し、次世代高速シーケンサーIon PGMシステムを使用して経時的なmiRNAの発現の変化を観察する。また、これにより変化を認めた細胞死・貪食能・炎症に関与していると考えられるmiRNAを選別し、Real Time PCRで定量を行う。また、小胞体ストレス関連分子であるCHOP、BiPなどの変化をReal Time PCRおよびWestern blot法を用いて定量する。 〈結果〉敗血症患者のマクロファージにおいて、数種類のmiRNAの発現増加を認め、小胞体ストレス関連分子であるCHOPのmRNAおよびタンパク質の発現増加を認めた。現在、単球系培養細胞であるTHP1細胞を用い、LPSを投与した敗血症モデルを用いてReal Time PCRで発現増加を確認したのmiRNAの過剰発現もしくは抑制を行い、貪食能の変化を確認しているところである。今後敗血症ラットモデルにおいてmiRNAとCHOPの経時的変化および相互関係を確認していく予定である。
|