研究課題
本研究の目的は心筋虚血プレコンディショニングにおけるSOCS3の役割を明らかにし、未だその有効な治療法が確立されていない虚血再灌流障害の治療となり得るか検討する事である。SOCS3はSTAT3により発現が誘導される標的遺伝子のひとつである。STAT3が活性化を受けると心保護に働くと同時に、SOCS3の発現が誘導され生存シグナルは強い抑制を受けてしまう。しかし心筋特異的にSOCS3を欠損させる事で、PCによるJAK-STAT経路、及びその下流の生存シグナルの活性がより増強され効果的に作用し、心筋虚血再灌流障害が抑制されると仮説を立てた。マウス心筋虚血再還流モデルを作成しEvans blue、TTC染色を行うと梗塞巣の評価が可能である。心筋プレコンディショニングを行ったモデルでは梗塞巣はごく軽度縮小し、心筋特異的SOCS3欠損マウスではさらに梗塞が縮小している事が解った。またウエスタンブロットでシグナルを解析したところ心筋特異的SOCS3欠損マウスでは生存シグナルであるstat3の活性化が増強している事が解った。
3: やや遅れている
病態の解析は順調に進行している。しかし再現性の確認にはモデル作成が多数必要となる。心筋虚血再灌流モデル作成はマウス1匹あたり5時間程度要する。またプレコンディショニング処置を行うとさらに2時間程の時間を要するためその点で時間を要している。
心筋虚血再灌流障害と心筋プレコンディショニングの心筋障害、心筋保護のメカニズムを解析する。またこれらのSOCS3の役割をさらに解析する。具体的な方策としては細胞死の評価としてアポトーシスの評価、及びアポトーシス関連シグナルの評価を行う。その結果を踏まえ関連する分子や遺伝子解析を行う。
物品購入の差額のため。
次年度も若干の物品購入差額が出ると思われます。
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PLOS ONE
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Circulation Journal
Journal of American College of Cardiology
巻: 24 ページ: 2722-2733
10.1016/j.jacc.2014.03.032.