研究課題/領域番号 |
26861539
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 珠希 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80580943)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 癌細胞 / 骨転移 / 骨細胞 |
研究実績の概要 |
当研究は癌骨転移環境下での癌細胞と骨細胞間のネットワーク機構を解明することを目的としている。この研究課題に至った経緯として、骨に転移した癌細胞において従来であれば骨細胞が産生すると言われているFGF23を過剰に産生している結果が得られたことから開始している研究である。癌細胞が培養環境下ではFGF23産生がみられない状況であるが、骨に転移した部位では過剰に産生していた(癌骨転移実験動物モデルで組織化学的に研究結果を得ている)。FGF23は骨細胞で産生され、その発現により低リン状態となり、骨軟化症を示すことがすでに知られている。この結果から骨という環境が癌細胞にFGF23の発現を過剰に亢進させ、骨を脆弱にし、骨環境下での癌細胞の増大や伸展を助けている可能性は容易に推察できる。実際にFGF23を過剰発現させた癌細胞を作製し、その挙動(増殖能、浸潤能、運動能等)を検索し、どういったシグナル伝達経路が亢進されているかを検索するまでに至っている。今後は産生されたFGF23が癌細胞自身に作用するのかさらには周囲の骨細胞等に作用するのかを検索し、癌細胞と骨代謝の関係性を詳細に解析する。将来的にはFGF23過剰発現細胞株を動物実験に使用し、骨転移への影響を検索する予定である。FGF23過剰発現細胞株は通常の細胞株よりも骨に転移しやすいのか、また、周囲の骨代謝関連細胞への影響(骨代謝関連細胞の活性化)も検索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究の主目的である癌と癌が転移した骨環境下でのFGF23因子の関わりは実験動物レベルでの系は樹立している。さらに詳細な検索するべく現在は細胞レベルでの検索中である。動物実験の系は樹立されているため、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験系で明らかとなった研究結果を細胞レベルで検索中である。癌が転移した骨環境下でのFGF23因子の関わりを多方面から検索する必要がある。FGF23因子は骨細胞が産生すると言われているが、骨に転移した癌細胞でも産生される可能性があり、それを探っている状況である。今後は癌細胞及び骨細胞双方の関係性をさらに検索する予定である。確かなデータを獲得し、その後は学会等で発表し、さらには論文投稿によって情報を発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に必要な物品等は購入し、研究は計画通り進んでいる。差額分は次年度の研究に十分使用可能と考える。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究はさらに発展させた研究内容となるため、物品等に使用する。
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