研究課題
1)血管内皮細胞の分離培養:当初の計画通りまず初めに血管内皮細胞を分離培養した.ヌードマウスにヒト由来腫瘍細胞株(舌がん,腎癌,メラノーマ)を皮下移植し,形成された腫瘍塊からそれぞれ腫瘍血管内皮細胞を,また正常コントロールとして正常マウスの皮膚から正常血管内皮細胞を分離した.血管内皮細胞の分離には磁気ビーズ細胞分離法を用いた.分離した血管内皮の特性解析をPCR法とフローサイトメーターを用いて行い,ヒト癌細胞および他細胞の混入がないことを確認した.2)腫瘍血管内皮細胞特異マーカーの発現解析:分離培養した腫瘍血管内皮および正常血管内皮細胞からトータルRNAを抽出し,Real-time PCR法により薬剤耐性関連遺伝子および幹細胞関連遺伝子の発現を比較検討した.その結果,MDR1をはじめとした薬剤耐性遺伝子の発現が正常血管内皮細胞に比べ,腫瘍血管内皮細胞で亢進していた.またSca-1,CD90,CD133,ALDHなどの幹細胞マーカーの発現も腫瘍血管内皮細胞で亢進しており,これまでの報告と一致した.さらにこれまで腫瘍血管内皮細胞特異マーカーとして報告した遺伝子(COX-2,CXCR7,PTGIR,PTGFR,LOXなど)の発現亢進も確認された.3)腫瘍血管内皮マーカーの阻害およびノックダウン後の薬剤感受性解析:いくつかの腫瘍血管内皮で特異的に発現が亢進していた遺伝子(薬剤耐性遺伝子,幹細胞マーカー,腫瘍血管内皮マーカーを含む)を阻害し,抗がん剤5-FUおよびPaclitaxelに対する抵抗性をin vitroで解析した.その結果,Gene Xについて腫瘍血管内皮の抗がん剤耐性に関わることが示唆された.
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り,血管内皮細胞の分離培養,特性解析ならびに特異的に発現が亢進している遺伝子の発現解析を進めることができた.腫瘍血管内皮細胞で亢進している分子の阻害と薬剤感受性解析については解析中である.
in vitroで見出されたマーカーについて,in vivoマウス皮下移植腫瘍組織およびヒト臨床検体(口腔がん,腎癌,大腸癌など)を用いて組織免疫染色法により発現解析を行い,in vivo治療実験における標的となりうるかどうか検討する予定である.
H26年度に行う予定だった阻害実験が時間を要して実験途中のため.
すでに引き続き実験を進めている.
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Am J Pathol
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http://www.igm.hokudai.ac.jp/vascular-biology/