研究課題/領域番号 |
26861543
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
栢森 高 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10569841)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 癌関連線維芽細胞 / 口腔扁平上皮癌 / 血管新生 / NOTCHシグナル |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌における癌関連線維芽細胞(CAF)が血管新生に果たす役割をNOTCHシグナルに焦点を置いて検討した所、以下の結果が得られた。 1.舌扁平上皮癌の手術検体99症例を用いて免疫組織化学的に検討した結果、(1)68症例で癌周囲にSMA(+)となるCAFの出現を認め、更にこれらのうち31症例がNOTCH3陽性を示した。(2)次にこれらCAFにおけるNOTCH3発現と臨床病理学的因子との関連を統計学的に検討した結果、CAFにおけるNOTCH3発現の有無と癌の大きさ(T因子)、リンパ節転移の有無(N因子)との間に有意な相関が得られた。 2.in vitroでの解析を行った。(1)ヒト口腔扁平上皮癌細胞株とマウス骨髄由来間葉系細胞株(ST2)を共培養させた後、ST2におけるnotch3発現をReal-time qPCRで解析した結果、4割の癌細胞株(特にHO1N1)がST2におけるnotch3の発現を有意に上昇させた。更にヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)をHO1N1と共培養させた後、anti-fibroblast microbeadsでNHDFを分離してNOTCH3をReal-Time qPCRで解析しても同様の有意な発現上昇が認められた。 (2)NHDFおよびヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を共培養して血管新生を検索する系に、HO1N1細胞株も添加して、NHDFがHUVECによる血管新生に及ぼす影響を検討した。HO1N1を添加する事により、controlと比較して多くのCD31陽性を示すHUVECによるnetwork形成が確認できた。このnetwork形成は、あらかじめNHDFのNOTCH3発現をsiRNAにより減弱させる事によって、抑制される事が確認された。 以上の結果から、口腔癌によるCAFにおけるNOTCH3発現の誘導が血管新生をもたらしている可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト舌癌の手術材料を用いた免疫染色結果と臨床病理学的因子との関連についての解析は概ね計画通りに進行したが、 1.癌浸潤部でのCAFのNOTCH3発現の有無と血管密度との関連 2.癌浸潤部でのCAFのNOTCH3発現の有無とdisease free survival, overall survivalとの関連 以上の2点の解析がまだ進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
1.ヒト舌癌の手術材料を用いて、癌浸潤部でのCAFのNOTCH3発現の有無と、血管密度の関連、disease free survivalおよびocverall survivalの関連を解析する 2.ヌードマウスにヒト口腔癌細胞株を移植して、ヒト舌癌を用いた免疫染色での結果、in vitroで得られた実験結果との妥当性を検討する。
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