研究課題/領域番号 |
26861544
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 孝康 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員 (70725514)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔細菌学 / 歯周病原細菌 / ゲノム解析 / CRISPR |
研究実績の概要 |
(1) 歯周病関連細菌3種の競合的・協調的生存戦略: 歯周病病変から高率に分離されるP. gingivalis,Tannerella forsythiaおよびTreponema denticolaはred complexと称され,歯周病への関与が深いとみられる.3菌種の比較ゲノム解析を行った結果,3菌種は異なる種類の代謝関連遺伝子を保有し,代謝経路の遺伝子欠損を互いに補完する協調的戦略が示唆された.一方で,3菌種のCRISPRには3菌種のうち他の2菌種のゲノム配列に相同なスペーサーが存在し,CRISPRによって他の細菌種の生命活動を阻害する競合的戦略が示唆された. (2) CRISPR保有ファージの系統学的分布: CRISPRは、細菌にとっての外来性遺伝因子であるバクテリオファージやプラスミド等への獲得免疫を担うゲノム上の領域として知られるが、腸内細菌Clostridium difficileでは、細菌ゲノム内にテンペレートファージが組み込まれた形態であるプロファージ領域の中に、CRISPRを保有するものが報告されている。このようなCRISPR保有ファージ(CRISPR on phage; CoP)は、系統学的分布、役割および存在意義が不明である。今回、NCBI GenBankデータベース内の167,970細菌株のゲノムから255ヶ所のCoPを検出し、CoPが細菌において広く存在していることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細菌群集を対象とした解析を行ってきて、主題である歯周病原細菌のゲノム解析を円滑に進めることができた。その成果の一部は論文として発表することができた。以上の状況から、研究はおおむね順調に進展しているものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実施している解析内容に関しては、精査により確実な結果とすることが必要であると考えている。また、未実施の内容については、他の細菌種における解析手法の吟味によって解析フローは確立している状況のため、速やかにこれを実施することによって新規の知見が得られ、論文発表へつながるものと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験データの取得に際して予備検討を要したため、本実験にて使用予定であった試薬類の購入を見合わせた。そのため、当初の計画にて計上していた研究費の金額に満たない使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に実行予定であった本実験のため、試薬類購入など研究遂行に必要な各種費用に充当する予定である。
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