研究課題
1) インプラント周囲炎と歯周炎における細菌叢構成細菌種および細菌由来機能遺伝子の相違:同一口腔内のインプラント周囲炎および歯周炎部位から、プラークまたは歯肉溝滲出液を採取し、全RNAを抽出して高速シーケンサーにて塩基配列を取得した。16S rRNA由来の配列断片から、インプラント周囲炎と歯周炎は細菌叢の構成細菌種の種類や存在量に違いがみられるものの、いずれの疾患においても優占種は似通っていることがわかった。その中には、歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisやTreponema denticolaも含まれており、red complexとして歯周病への関与が高いと位置づけられる両菌種が、歯周炎だけでなくインプラント周囲炎においてもその発症や進行に関与している可能性が示唆された。その一方で、インプラント周囲炎・歯周炎のそれぞれに特異的な細菌種も検出され、それらの存在が両疾患の発症・進行における差異をもたらしている可能性も考えられた。2) CRISPR保有プロファージの系統学的分布:NCBI GenBankデータベースから細菌完全ゲノムの塩基配列を入手し、clustered regularly interspaced short palindromic repeat (CRISPR) を保有するプロファージを同定したところ、31種類の系統学的マーカー遺伝子に基づくアミノ酸配列系統樹においてCRISPR保有プロファージが広く分布していることがわかった。その中にはClostridium difficileをはじめとする腸内細菌種もみられ、ヒト腸内など種々の環境におけるCRISPR保有プロファージの普遍的分布が示唆された。
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Sci. Rep.
巻: 5 ページ: 9832
10.1038/srep09832
化学療法の領域
巻: 31 ページ: 118-128