研究課題
ヒトの口腔には,唾液中に含まれる硝酸イオンを還元し,亜硝酸イオンや一酸化窒素を生成する細菌群(硝酸還元菌)が常在している.本研究課題の3年目(最終年度)は,2年目に分離した個々の硝酸還元菌を用いた実験と菌叢解析実験を引き続き進めた.(1)前年度に得た硝酸還元菌の特徴づけと論文発表前年度は,口腔健常者の口腔より分離した硝酸還元菌群の中から,遺伝子改変が可能であることを明らかにしたRothia mucilaginosaのゲノム解読を行い,データ公開と論文発表を行った.28年度は,同様に遺伝子改変可能で高い硝酸還元能を有しているRothia aeria株のゲノム解読をPacBio RS II(パシフィックバイオサイエンス社)を用いて行った.完全解読に成功し,アノテーションを行った後,データ公開と論文発表を行った.加えて,同様の特徴をもつ,もう1株のR. aeriaとRothia dentocariosaもゲノム解読を進めており,29年度中にはデータの公開と論文投稿を予定している.(2)次世代シークエンスによる硝酸還元菌の変動解析大阪歯科大学医の倫理委員会の承認のもと,28年度は採取した唾液を材料として菌叢変動を解析した.具体的には,唾液にNO発生剤や硝酸を加え,特定の培地を用いて培養し,薬剤添加の有無で菌叢の比較を行った.現在,データをまとめているところであるが,薬剤の存在下で特定の菌株の増殖が抑制されることが確認できている.結果がまとまり次第,学会と論文発表を行う予定である.
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
Genome Announcements
巻: 4 ページ: e01443-16
10.1128/genomeA.01443-16
巻: 4 ページ: e01444-16
10.1128/genomeA.01444-16