研究実績の概要 |
癌と幹細胞の類似性に着目しES、iPS細胞の増殖を抑制し分化誘導に働くタンパク質Leftyが癌細胞では癌抑制因子として働き、その発現がLefty遺伝子のメチル化などのエピジェネティック因子により調節されることを明らかにしている。本研究は、前癌病変である口腔内白板症細胞およびこの細胞をリプログラムした細胞におけるLeftyの発現とエピジェネティック因子の関連を明らかにすることが目的である。 白板症からのiPS細胞樹立の目的は前癌病変からのiPS細胞の作製であるので、前癌病変であり、かつ遺伝性疾患である基底細胞母斑症候群(Gorlin症候群)に着目し、まずこのiPS細胞を作製することとした。この症候群は、20歳前後から基底細胞癌が多発して発症することが知られており、この患者由来のiPS細胞を作製し、Leftyの発現と癌化との関連を検討する。同意の得られたGorlin患者より口腔粘膜組織を採取しoutgrowth法にて線維芽細胞を得た後、この細胞に対し、ウイルスベクターを用いてOct3/4, Sox2, Klf4, cMycの4遺伝子を導入したところ、ES細胞様のコロニーが得られた。これらのiPS細胞はES細胞マーカーの発現およびin vivoでの多能性を示した。
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