研究課題/領域番号 |
26861561
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 誠之 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (00508484)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炎症性疼痛 / 三叉神経節 / 侵害受容 / GABA / GAD / 痛覚過敏 |
研究実績の概要 |
炎症性疼痛に対する三叉神経節内GABA B受容体シグナル伝達系の役割を解明するため、平成27年度は顎関節・咬筋等の深部組織炎症により、この部位を支配しVc/C1領域に投射する小型~中型三叉神経節ニューロンのGABA産生とGABA B受容体発現がどのように変調するかを逆行性二重蛍光標識および免疫組織化学法を用いて検討した。結果、正常ラットと比較して痛覚過敏を伴う慢性炎症惹起時にGABA合成指標となるGAD65・GAD67産生とGABA B受容体の発現に変化が見られた。 また、新たに平成27年度より、In vivo実験としてマルチバレル電極/イオントフォレシス微小電気泳動法を用いた細胞外記録により、末梢受容野に加えた侵害刺激に応じる三叉神経節ニューロンへのGABA B受容体作動薬・拮抗薬の投与時の変調効果について正常群と炎症群で比較解析記録を開始した。 現在までに、シナプスが存在しないはずの三叉神経節においてのGAD65・GAD67産生とGABA B受容体の存在を確認し、この部位へのGABA B受容体作動薬・拮抗薬の局所投与が侵害受容伝達に及ぼす影響を記録し、慢性炎症惹起時のGAD産生量とGABA受容体発現頻度の変化が末梢受容野の痛覚過敏に関与しているだろう事が徐々に解明されつつある。 さらなる確証を得るために今後も引き続き追加実験検証を行い、その結果を国際学会IADR 2016(平成28年6月22日~6月25日)にて学会発表予定である。 平成27年9月11日~9月13日 第57回歯科基礎医学会学術大会・総会(朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター)、平成28年3月22日~3月24日 第93回日本生理学会大会(札幌コンベンションセンター)にて共同演者として学会発表を行った。 また他大学研究機関の同分野の研究者との意見交換等により、本研究課題遂行・発展の為の研究調査も同時に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に引き続き、平成27年度では顔面皮膚・顎関節・咬筋等の痛覚過敏を伴う慢性炎症惹起時に、この部位に受容野を持ち、Vc/C1領域に投射する小型~中型三叉神経節ニューロンのGABA産生とGABA B受容体発現がどのように変調するかを逆行性二重蛍光標識および免疫組織化学法を用いて検討し、一定の見解を得ることができた。 また、当初の計画通り新たに平成27年度より、In vivo実験としてマルチバレル電極/イオントフォレシス微小電気泳動法を用いた細胞外記録により、末梢受容野に加えた侵害刺激に応じる三叉神経節ニューロンへのGABA B受容体作動薬・拮抗薬の投与時の変調効果について正常群と炎症群で比較解析記録を開始することができた。 結果として慢性炎症惹起時のGAD産生量とGABA受容体発現頻度の変化が末梢受容野の痛覚過敏に関与しているだろう事が徐々に解明されつつある。 さらなる確証を得るために今後も引き続き追加実験検証が必要であると考えられるが、本研究の結果を平成28年度に国際学会IADR 2016(平成28年6月22日~6月25日)、および追加実験結果を日本生理学会大会にて学会発表予定である。 関連分野を含めると共同著者として平成26年度には1編の論文発表と、共同演者として3回の学会発表、平成27年度には2回の学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
炎症性疼痛に対する三叉神経節内GABA受容体シグナル伝達系の役割を解明するため、今後も引き続き逆行性二重蛍光標識および免疫組織化学法、およびIn vivo実験としてマルチバレル電極/イオントフォレシス微小電気泳動法を用いた細胞外記録の両面より追加実験検証を行い、慢性炎症惹起時の三叉神経節でのGAD産生量とGABA受容体発現頻度の変化が末梢受容野の痛覚過敏発現に関与しているだろう事のさらなる確証を得て、その結果を平成28年度に国際学会IADR 2016(平成28年6月22日~6月25日)と日本生理学会にて学会発表し、論文投稿へとつなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
イオントフォレシスユニット修理費用が当初の見積りと異なった事、および実験動物(ラット)の価格変更が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
近年、価格高騰傾向にある輸入実験試薬・抗体の購入費用として使用する予定である。
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