研究課題/領域番号 |
26861564
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
水野 光政 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (20609812)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 間葉幹細胞 / ADSC / rhBMP2 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究実施計画に従って進捗し、下記の研究成果を得た。 ・自己脂肪細胞由来幹細胞の取得系の構築 本研究では小規模な医療施設でも実現可能な再生医療モデルを構築することを目指し、高価で大型の装置を必要としない磁気を用いたカラム操作により脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を取得する。最終的には自己由来の細胞を治療に用いること想定しているが、本研究では治療モデルの構築を目的とするため、近交系ラットの皮下脂肪組織から脂肪由来間葉系幹細胞(rADSC)を取得して移植実験を行った。ラットの皮下脂肪組織を採取し分解・遠心分離し得られた沈渣(SVC)に磁気抗体を付与したものを磁気カラムを用いて分取して、rADSCが取得できた。フローサイトメトリーの結果、CD90・CD29・CD105陽性、CD34・CD45陰性である間葉幹細胞の特徴が見られ、この細胞が骨分化能を有することも骨分化誘導実験で実証した。 ・rADSCの象牙芽細胞分化効率の向上 安価かつ高効率なヒト骨形成誘導因子の取得を目指し、大腸菌のコールドショック発現系 pColdベクターを用いてリコンビナントヒトBMP2(rhBMP2)取得法の開発を検討している。市販のrhBMP2は不溶性画分からのカラム精製により取得されているが、可溶性画分に発現させて精製することにより効率よくBMPを取得することが可能であった。平成26年度はpCold-hBMP2の配列を持つ大腸菌を作製し、DNAシーケンスにより目的の配列のDNAを持つことを裏付けた。この大腸菌を破砕し可溶性画分からHisタグを用いたカラム精製によりhBMP2の粗精製が可能であった。また、GST融合タンパク質切断用プロテアーゼを用いてHisタグを分離したhBMP2も取得できた。これらのタンパク質はNative PAGE泳動ゲルからの切り出しにより単一バンド化が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究計画の立案時に予定した実験項目について、おおむね計画通りに進捗した。rADSCの取得については、目的の細胞を得ることができたため最低限の進捗は達成した。しかし、目的以外の細胞も混合していることが懸念されたため、他の分取法への変更もしくは今回行った磁気分離と他の方法の併用を平成27年度以降に検討する余地がある。 rADSCの象牙芽細胞分化効率の向上については、構築した大腸菌を用いることにより従来より安価で高効率のrhBMP2取得の可能性が示された。また、ADSCの分化促進だけでなく分化抑制の因子としても実用性があるため、研究の目的以上の知見が得られる可能性がある。よって順調に実験が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画通り、平成27年度では脂肪由来間葉幹細胞の口腔内移植を行い象牙質再生が見られるかを観察する。細胞は磁気分離により得られたrADSCを用いるが、目的以外の細胞も混合していることが懸念されたため、細胞分離方法の検討も併行しその結果によっては他の方法で得たrADSCを使用する。rADSCの象牙芽細胞分化効率の向上の項目については引き続き作製したrhBMP2の評価や取得方法の改良を行うことにより実用化に向けての条件を検討する。 rADSC移植によって象牙質再生が見られた場合には、平成28年度実施予定の幹細胞由来象牙芽細胞分化状態の多面的な可視化解析を前倒しして行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の一部を研究室の物品から賄うことができた為、予定よりも科研費からの支出が減少し81,818円の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は翌年度分として請求した助成金と合算し、実験器具や実験動物購入費、抗体および培地などの消耗品購入費に使用する計画である。
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