前年度までのデータを元にpore size100-200umの円筒型PDMS製チャンバーを用い病原性細菌播種後の免疫細胞凝集パターンに関しFlowcytometryを用い解析を行った。細菌種を問わず回収された細胞群のほぼ100%が好中球の特異的マーカーであるLy6g陽性細胞であった。またマクロファージの凝集に関しては同じく特異的抗体であるF4/80にて調査したところ細胞群の同定には至らなかった。好中球に関しては各種播種細菌群間の凝集細胞種には差異はなく、グラム陰性菌群P. intermedia、F. nucleatum においては陽性菌群、グラム陽性細菌のP. micros、S. intermediusに比較してチャンバー内部への凝集の速度が遅い傾向を示した(有意差なし)。4種の細菌を混合した系においては、播種後72hまではグラム陽性菌、以降はグラム陰性菌群播種時とほぼ同様の傾向を見せ、感染菌種によるそれぞれの特徴を把握することができた。次いで凝集した好中球の細胞死の状態を確認するため、同じくFACSを用いたアポトーシス定量キットを用い評価を行った。結果、グラム陽性菌播種群では72hまで生きた好中球が継続的にチャンバー内部へ侵入(供給)しているのに対し、グラム陰性菌群においては24h時間経過時点でその供給量は低下傾向にあることが判明した。チャンバー周囲と内部のバイオフィルムの形成状況を評価すべく、ホルマリン固定の上パラフィン包埋し評価を行ったところ、チャンバー内表面よりバイオフィルム様の構造を確認し、それらは24hの時点で4種の細菌を混合した系においては、コントロール群と比べ肥厚している傾向を呈した。しかしながら処理の際に内表面より容易に剥離してしまうため、定量化および安定した構造解析にはなんらかの表面処理が必要なことが示唆された。
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