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2017 年度 実績報告書

硼素中性子捕捉療法(BNCT)による口腔癌細胞の生と死の制御機構の多角的解析

研究課題

研究課題/領域番号 26861571
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

仲川 洋介  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00714875)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードBNCT / BPA
研究実績の概要

先ず、ホウ素薬剤(BPA)を作用後に中性子照射を行った群とX線照射を行った群で、生存率曲線やアポトーシス頻度など基礎データの収集を行った。生存率曲線からD10における生物学的効果比(RBE)は、約2.5から3.0で、中性子照射群細胞群では、X線照射群と比較し効率的にアポトーシス誘導が行われていた。また、照射後の細胞周期の変動に関して解析を行ったところ、等線量2Gy照射時に中性子照射を行った群では、照射後12時間を超えて24時間でもG2/M期において細胞周期の停止を認めた。
次に、移植系動物実験により、既存のBPAがどのようにすれば効率よく腫瘍に集積するのか、その集積を妨げる因子は何であるかの解明を行うこととした。がん細胞を移植したヌードマウスを用いて5-FUを先行投与した群、さらに5-FUの投与をせずにBPA投与を行ったコントロール群で、BPA投与後のがん組織および臓器毎の組織のホウ素集積に差が生じるか否かの検討を行った。各群とも正常組織では有意差を認めず、がん組織においては5-FUを投与し3日後にBPAの投与を行った群でホウ素の取り込みの低下を有意に認めていた。そこで、次に5-FUの先行投与により、ホウ素の取り込みが阻害されるメカニズムを分子生物学的手法を用いて検討した。5-FUで24h処理した群では、G2/M期での細胞周期の停止を認めた。さらに、5-FUを培地中に添加し5日間処理した群と処理を行わない群で細胞周期の比較検討を行ったところ、5-FUで24h処理した群でG2/M期での細胞周期の停止を認め、さらにSubG1に著明な集積を認めることで細胞死(アポトーシス)の誘導が考えられた。これらより、5-FUの先行投与によってホウ素(BPA)の取り込みが阻害されている要因は、腫瘍組織の細胞周期の停止と腫瘍組織内の壊死組織の増加によるアミノ酸代謝の低下と考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Heat Meets DNA: DNA Damage and Repair.2018

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Y, Kajihara A, Kirita T, Mori E.
    • 雑誌名

      Thermal Medicine

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] BRCA2 protects mammalian cells from heat shock2017

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Yosuke、Kajihara Atsuhisa、Takahashi Akihisa、Murata Akiho S.、Matsubayashi Masaya、Ito Soichiro S.、Ota Ichiro、Nakagawa Takahiko、Hasegawa Masatoshi、Kirita Tadaaki、Ohnishi Takeo、Mori Eiichiro
    • 雑誌名

      International Journal of Hyperthermia

      巻: - ページ: 1~7

    • DOI

      DOI: 10.1080/02656736.2017.1370558

  • [学会発表] 口腔がん細胞におけるATR 阻害による-FU 増感効果の検討2018

    • 著者名/発表者名
      仲川洋介、伊藤宗一朗、桐田忠昭
    • 学会等名
      第36 回日本口腔腫瘍学会学術大会
  • [学会発表] ATR inhibition enhances 5-fluorouracil sensitivity in human oral cancer cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Ito S, Nakagawa Y, Kirita T.
    • 学会等名
      6th World Oral Cancer Congress of the International Academy of Oral Oncology (IAOO)
  • [学会発表] 経過観察中に舌癌を生じたシェーグレン症候群患者の1例2017

    • 著者名/発表者名
      仲川洋介、山本一彦、松末友美子、栗原都、桐田忠昭
    • 学会等名
      第10回奈良県シェーグレン研究会

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公開日: 2018-12-17  

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