研究課題
本年度は新たに放射線治療を施行した15例(3次元原体照射:12例、IMRT:3例)について、口腔乾燥症のアンケート、吐唾法、ガムテストおよび口腔水分計(Mucus、(株)ライフ)を用いた測定を経時的に行った。評価時期は放射線治療の開始前、10-60Gyの間10Gyごと、終了後1ヶ月とした。昨年度までに放射線治療を施行した20例(3次元原体照射:18例、IMRT:2例)については引き続きフォローアップし、放射線治療終了後3-24ヶ月で逐次評価している。その結果、吐唾法およびガムテストでは照射期間中において比較的早期に唾液量は減少し、照射終了後は経時的に増加したものの、照射前の唾液量にまで回復することなく終了後1年以内にプラトーに達した。アンケートのVAS値は唾液量と相関していた。口腔水分計の計測値は唾液量との関連性が乏しく、特に照射期間中に唾液量は減少している場合でも計測値が上昇している場合も認められた。各唾液腺の画像評価に関しては、CTおよびMRIを用いて放射線治療の開始前、30Gy照射時、終了後1ヶ月時点で行った。CT画像上で各唾液腺の体積、CT値および造影率(造影前後でのCT値の変化率)を、MRIではT1強調画像、T2強調画像および拡散強調画像における信号変化率を算出した。その結果、経時的な唾液腺体積の減少、CT値の減少、造影率の増加、T1強調画像における信号低下、T2強調画像における信号上昇、拡散強調画像におけるADC値の上昇が認められた。これら画像パラメータと唾液分泌量との間にある程度の関連を認めた。今後、終了後3-24ヶ月でのデータを蓄積し、各種画像パラメータと唾液分泌量との長期的な関連性について引き続き検討する。IMRT症例に関しては、耳下腺線量を減少できた症例もあるものの、症例数が少なく3次元原体照射症例との比較は今後さらに症例数を蓄積させる必要がある。
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Dentomaxillofac Radiol
巻: 45 ページ: -
10.1259/dmfr.20160094