研究課題
近年,Bisphosphonate(BP)関連顎骨壊死(Bisphosphonate Related Osteonecrosis of the Jaws: BRONJ)が2003年にMarxらによって報告されて以降,顎顔面領域に生じる合併症として問題となっている.根治的な治療法はなく,基本的には含嗽,局所洗浄, 抗菌薬の投与などの保存的治療を推奨されている.そのような中、遺伝子組み換えヒト副甲状腺ホルモンであるテリパラチド(Teriparatide; TPTD)が2010年7月に骨粗鬆症治療薬として承認された.時期を同じくしてTPTDによりBRONJが著明に改善したとの報告がThe New England Journal of Medicineに掲載され,その後もいくつかの同様の報告がなされている.そこでわれわれはBRONJモデルラットを用いてTPTDの効果を検討している.生後8週のラット(雄)を用いて,Zoledronate(0.1 mg/ kg/体)を週1回4週間皮下注射し,4週目に顎骨と大腿骨にドリリングを行いLPSを留置しBRONJを誘導した.骨壊死は確認できた.その後4週間TPTD皮下注射(3回/週)治療群と非治療群で比較検討した.n数はまだ少ないが良好な治療効果が認められている.骨芽細胞と破骨細胞の染色を現在行っている.また,ラット末梢血を採取し,骨代謝マーカー測定(Osteocalcin, nTX)を行った.現在サンプル数を増やし検討中である.
2: おおむね順調に進展している
ラットの骨壊死モデルの作成には精通しており、また、分子生物学的実験手技についても大学院時代に培ったテクニックを駆使し順調に計画通り進んでいると考える。
ラットを使ったin vivo研究は今後実験手技のぶれをなくしつつn数を増やして統計学的な検討を行う。また、in vitro研究においてもラットの血清サンプリングを増やし、ELISAを用いて炎症性サイトカインを含めた検討を行っていく予定である。切片については切り出しがラット骨のため非常に難しかったがやっと手技が安定してきたので、こちらも、免疫染色を検討するため数を増やしていく予定である。ラットでの研究成果をもとにエヴィデンスに基づいた治療へとつなげられるよう検討している。また、CTについては撮影を試みたが方向設定等細かな調整を行い、HEで確認できた骨新生が確認できるよう工夫したい。
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Osteoporos International
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Head Neck
10.1002/hed.24036.