研究実績の概要 |
目的:本研究では,ビスホスホネート製剤による顎骨壊死に対するTPTDの効果が臨床的に言われているが、その効果をラットモデルで検討した. 結果:H-E染色を行った脱灰標本を用いて新生骨面積および壊死骨面積の測定を行った.下顎骨,大腿骨ともに,生理食塩水群では広範囲の壊死骨が骨穿孔部周囲に形成されており,穿孔部における新生骨面積は極めて小さいことが確認できた.一方,TPTD群では骨穿孔部における新生骨形成が認められ,壊死骨面積は生理食塩水群と比較して縮小していることが確認できた. 下顎骨の骨穿孔部における新生骨面積は,生理食塩水群で0.14mm2,TPTD群で2.27mm2,壊死骨面積は生理食塩水群で1.63mm2,TPTD群で0.41mm2であった.大腿骨の骨穿孔部における新生骨面積は,生理食塩水群で0.14mm2,TPTD群では1.68mm2,壊死骨面積は生理食塩水群で2.52mm2,TPTD群で1.01mm2であった.両群を比較するとTPTD群では有意な新生骨面積の増加および壊死骨面積の減少が確認できた.calcein二重標識による骨形態計測を行った.下顎骨,大腿骨ともにTPTD群では生理食塩水群と比較して,より鮮明なcalcein二重標識線を確認することができた. calcein染色により動的パラメータである二重標識の骨幅を計測した.下顎骨の生理食塩水群では5.31μm,TPTD群では32.90μmであった.大腿骨の生理食塩水群では5.14μm,TPTD群では29.25μmであった.染色された二重標識の幅を比較すると, TPTD群では生理食塩水群と比較して高値を示し,この差は統計学的に有意であった. 結論:TPTD投与により壊死骨面積の減少, 新生骨面積の増加,破骨細胞数の増加が認められ,BRONへの治療効果が認められた.
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