26年度および27年度で得られた研究結果を、海外で発表を行った。また英語論文を作成し投稿、受理掲載された。 今年度に得られた情報としては、脱灰操作により作製した人工う蝕象牙質内層に、フッ素、カルシウム含有材料(FCP-COMPLEX)を塗布したり、フッ素およびカルシウム含有接着剤接着に応用することにより、再石灰化の核となるフッ化カルシウムやフルオロアパタイトが表層に沈着、形成されることが走査型電子顕微鏡などで確認された。また脱灰の影響を受けた深部の象牙質では、優位に耐酸性の向上が確認され、このことからも接着修復後の周囲からの2次う蝕の形成を抑制する効果があることが判明した。これらは単に酸塩基抵抗層であるAcid-base resistant zoneの存在が確認され、またその厚みがフッ素、カルシウム含有材料のほうが肥厚する傾向が見られただけでなく、深部における耐酸性の確認が電子顕微鏡によって確認できたことによるもので、脱灰の影響を受けたう蝕象牙質内層の強化及び再石灰化が可能であることを十分に示したことになる。 また接着強さの評価においては長期保管後も安定した接着強さを有しており、対象群と比較してさらに向上する可能性を持った結果を得ることができた。これによりこれまで考えられていたう蝕象牙質内層における接着強さの長期保管による低下が防げるだけでなく、さらに健全象牙質に近似した結果を得るという目標に対する指針が出来たことになった。
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