本研究では、う蝕における歯髄炎の免疫応答のメカニズムを解析するために、免疫応答の中心を担う樹状細胞の機能及びそのサブセットの解析を目的とし、研究を行った。 我々の研究結果において、ラット正常歯髄において、これまでの報告同様MHC classII陽性、CD11c陽性の樹状細胞が存在することを免疫染色にて確認し、更にこれまで報告のなかったCD103陽性の樹状細胞がラット歯髄に認められることを免疫染色にて示した。これらの結果より、ラット歯髄において樹状細胞を中心とした獲得免疫系の関与の可能性が示唆された。 ラットにおける結果を踏まえ、ヒト抜去歯歯髄を用いて、マクロファージに特異的に染まることが認められているIba1抗体の免疫染色を行った。これまで、歯髄の最前線に樹状細胞が存在し、抗原の獲得を行っているとの報告があったが、我々は、共焦点レーザー顕微鏡の3次元解析により、歯髄最前線に分枝様のIba-1陽性細胞が存在することを証明した。これらのことから歯髄最前線には、マクロファージが存在し、今まで樹状細胞と考えられていたものがマクロファージである可能性が示唆された。これらの成果は、国内外の学会で報告を行った。 今後フローサイトメトリー法を用い、Iba-1陽性細胞およびCD103陽性樹状細胞のソーティング、そして機能解析を行い、歯髄樹状細胞の機能解析を加え、現在論文投稿準備中である。
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