研究実績の概要 |
【方法】 歯内療法実習用模型歯(B22X-END, ニッシン)をタービンにつけたダイヤモンドラウンドバーを使って髄腔開拡し、手用ステンレスファイルにて#60まで根管拡大し、17%EDTA溶液に5分間浸漬後、3ウェイシリンジにてよく水洗し、エアーをかけ、切削片が残っていないことをマイクロスコープにて確認後、5%次亜塩素酸ナトリウム溶液中に1日浸漬した。その後、PBS(-)にて2回洗浄し、滅菌ペーパーポイントにて根管を乾燥後、気泡が入らないようにVascular endothelial growth factor (VEGF)含有コラーゲンゲルを根管内へ注入し、37℃で10分間培養した。その後、歯冠部をフジフィルLC(GC)にて仮封し、ペンキュアー(モリタ)にて10秒間光照射し、6週齢Wister雄ラット背部へ移植した。3週間飼育後、潅流固定を行った。その後、人工歯を取り出し、凍結切片を作成してH-E染色を行った。また、VEGFを含有していないコラーゲンゲルをネガティブコントロールとして用いた。 【結果】 ラット背部への皮下移植後3週で、移植した根管模型内の根尖部2mmの部位に、ラット組織由来の線維芽細胞様の細胞が密に観察された。また、ネガティブコントロールにおいては、根尖部に細胞の進入は見られたものの、その細胞密度は低く、VEGF含有のもので観察された様な線維芽細胞様の細胞はみられなかった。 【考察】 細胞移植をすることなく、足場と成長因子のみで、ラット背部皮下へ移植した根管模型の根管内に宿主の細胞を動員することに成功した。しかし、動員されたのは根尖部に限局していたため、足場および成長因子の条件を検討する必要がある。
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