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2014 年度 実施状況報告書

象牙芽細胞分離培養法の樹立と象牙細管形成機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 26861600
研究機関長崎大学

研究代表者

中島 和慶  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40707246)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード象牙芽細胞 / Tie2
研究実績の概要

申請者はTie2を標的として生後1日目マウスの歯髄細胞より象牙芽細胞の分離培養を試みた。その結果、歯髄細胞をTie2陽性と陰性の2つの分画に分離する事に成功した。さらに、Tie2陽性分画はTie2陰性分画と比較して象牙芽細胞マーカーであるDSPP (dentin sialophosphoprotein) の発現量が高かった。以下にその詳細を示す。
1)生後1日目マウスの歯髄組織を0.05% Trypsinと1.5U/ml collagenase Ⅰ により酵素処理を行い歯髄細胞浮遊液を作製した。
2)磁気細胞分離法を用いて、歯髄細胞をTie2陽性分画と陰性分画に分離した。
3)Tie2陽性分画には象牙芽細胞と血管内皮細胞が含まれると考えられるため、Tie2陽性分画をさらに磁気細胞分離法によって血管内皮細胞マーカーであるCD31を標的としてTie2陽性CD31陽性分画( Tie2+CD31- )とTie2陽性CD31陰性分画( Tie2+CD31- )に分離した。
4)申請者の以前の研究から、マウス歯牙免疫染色においてTie2+CD31-の細胞は象牙芽細胞のみである事が明らかになっている。すなわち、今回歯髄細胞より磁気細胞分離法で得られたTie2+CD31-分画は象牙芽細胞に富む細胞であると考えられた。そこで、real-time PCR法にて象牙芽細胞マーカーの1つとして知られるDSPPの発現量を比較したところ、Tie2+CD31-分画がTie2+CD31+分画に比較して約70倍高い発現量を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の計画は、歯髄細胞より象牙芽細胞を分離しその培養法を樹立する事であったがその計画はおおむね順調に経過している。以下にその詳細を示す。
1) 歯髄細胞よりTie2+CD31-の象牙芽細胞を分離し、それらがDSPPの発現量が高い事を明らかにした。歯髄細胞より、象牙芽細胞の細胞膜抗原を標的として生きた象牙芽細胞を単離した報告はこれまでになく、申請者が今回成功した方法は極めて新規性が高い。
2) 一方、上記手法で単離した細胞を一旦培養ディッシュに播種・培養後、細胞よりRNAを抽出しPCR法にてTie2ならびにDSPPの遺伝子発現を確認したところ、それらの発現は播種前と比較して有意に減少した。
3)申請者はこれまでに、マウス歯牙において、象牙芽細胞がTie2陽性かつそのリガンドAng1陽性である事を免疫染色で明らかにし、報告している。今回申請者が単離したTie2+CD31-象牙芽細胞が、2)に示す様に培養する事でTie2やDSPPの発現が消失してしまう事は、象牙芽細胞形質の維持には特殊な培養条件が必要である事を示しており、その培養法の樹立は未達成である。
以上を鑑み、当初の目標であった象牙芽細胞の分離は達成されたが、その培養条件については更なる検討が必要であるため、達成度をおおむね順調とした。

今後の研究の推進方策

現時点で当初の計画に加えて以下の実験の追加を予定している。
初年度に単離した象牙芽細胞についてより詳細な検討を行う。すなわち、遺伝子発現の網羅的解析により、同じ硬組織形成細胞である骨芽細胞の遺伝子発現様式との比較を行なう予定である。その理由として以下の2点を挙げる。
1)象牙質には象牙細管という骨組織にはない特徴的な構造が存在するが、この構造の違いが起因する分子群を明らかにする。Tie2をはじめとして、象牙芽細胞に発現するが骨芽細胞に発現しない遺伝子を特定する。
2) 1)で明らかにした象牙芽細胞と骨芽細胞の遺伝子発現様式の違いから、象牙芽細胞特異的な分子を骨芽細胞にウイルスベクターを用いて強制発現させ、それらの細胞をマウス腎皮膜下に移植する。形成される硬組織の形態を観察し、象牙質様構造の形成に関与する分子群を特定する。
また、初年度未達成の事項である象牙芽細胞培養法樹立のため、培養条件の詳細な検討も行なう。象牙芽細胞の分化には上皮由来の因子が必要であるため、培地に上皮からのシグナル分子の添加を行ない、象牙芽細胞形質の維持が可能な培養条件を模索する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では実体顕微鏡(64万円)を購入予定であったが、研究協力者である柴田恭明の講座で実体顕微鏡を使用できる設備が整ったため当該年度の申請者自身での購入を見送った。

次年度使用額の使用計画

現在の研究計画では、細胞を単離するソースとして多数の妊娠確定マウスと生体マウスが必要であるため、物品費として使用する計画を立てている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Tie2/Ang1はマウス発生期ならびに成熟歯牙象牙芽細胞に発現する2014

    • 著者名/発表者名
      中島和慶
    • 学会等名
      日本組織細胞化学会
    • 発表場所
      松本市中央公民館(長野県松本市)
    • 年月日
      2014-09-27 – 2014-09-28

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公開日: 2016-06-01  

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