本研究は歯科インプラント臨床における即時・早期荷重の科学的基盤を確立することを目指し,①高解像度PET装置による核医学的分子イメージングを用いたインプラント周囲骨骨代謝活性の経時的モニタリング,②共振周波数解析装置を用いたインプラントstabilityの計測,さらには③組織形態学的な評価を加え,インプラント体への荷重開始時期による骨代謝活性とstabilityの関係を明らかにする.これらよりインプラントに荷重を加える最適な時期に関する指針を得,これまで曖昧であった即時荷重・早期荷重を用いたインプラント治療プロトコール策定に資する. 東北大学医工学研究科の協力講座と、低強度・高周波振動刺激の局所応用装置の製作を行った。当該装置は、スイッチによる強度・周波数の切り替えが可能であり、振動計測器にてその精度の検証を行った。また、東北大学工学研究科土木工学教室の協力により、共鳴振動周波数分析を用いた接触型の小型のオッセオインテグレーション測定装置(stabilityの評価)を開発を行った。装置は本体(振動発生装置:ハンマー)と加速度計から成り、振動発生装置から発生する振動とインプラント体からの共振振動を解析するものである。振動のモニタおよび解析には、信号波形解析ソフトを用いた。インプラント体に微弱振動を与えた時の変位を時系列波形として記録し、フーリエ変換にて共振ピークを検出し固有振動スペクトルへ変換、模型実験(骨質の異なるモデル)にてその特徴の検討を行い、骨質の違いによる特異的な共振周波数を認めた。 また、インプラント周囲骨における高解像度NaF-PETによるインプラント周囲骨の骨代謝動態の定量的解析として、雄性ラットを用い、脛骨にチタン製インプラントを埋入、咀嚼力を想定した間歇的な荷重を垂直に0.5N,2Hzにて付与した。また、1、4週にて組織学的・組織形態学的な評価を行った。
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