骨増成法の多くは間葉系幹細胞や骨芽細胞前駆細胞の骨芽細胞への分化を誘導することを指標とした試みが成されてきた。しかしながら移植初期における細胞の生存とその生着は、細胞移植による骨増成の律速段階であり、この段階で細胞を失うことはその後の骨増成効果に大きく影響を及ぼす。血管新生は細胞が生着するための環境を整備するために極めて重要であるばかりでなく、血流の確保は血行性に幹細胞の供給を可能とすることから、骨芽細胞とその前駆細胞の増加にも寄与することが強くが推察される。本研究の目的は細胞移植に血管新生を誘導する因子を併用することによって、移植細胞の生存と生着を促し、より効果的な細胞移植による骨増成を達成するための術式を確立することである。 各種増殖因子(PDGF、SDF-1,BMP-2)をアテロコラーゲンスポンジに含浸させ、8週齢雄性ラット頭蓋骨欠損部に移植した。移植1,3,7日後に組織標本を作成し、血管新生能、担体中の遊走細胞数の計測を行ったところ、SDF-1において優位に多くの遊走細胞数が認められたが、血管新生能については各群間に差は認められなかった。
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