研究課題/領域番号 |
26861636
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
城下 尚子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招聘教員 (10448110)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顎義歯 / QOL / 口腔腫瘍 |
研究実績の概要 |
口腔腫瘍の治療は、他の臓器と比較して治療そのものの精神的な苦痛が大きいばかりか、咀嚼・嚥下・構音・味覚などの多くの機能を有している口腔への侵襲(化学療法や放射線療法による組織変性や切除による組織欠損)によって術後の著しい機能低下を生じ、QOLの低下を招く。近年の治療技術の向上による生存率の向上により、術後の重篤な機能障害への高度な対応が必要とされるだけでなく、社会復帰を念頭においた治療では患者個々において高いQOLを維持させる治療が望まれる。本研究は、術後のQOLを評価し、治療効果の判定を行うとともに治療へフィードバックすることで現状よりさらに質の高い医療の提供を行うことを目的として、通法の顎義歯製作の場合と早期顎義歯を経由した場合の両術式間で経過を追って比較することで早期顎義歯の有効性を検討をすすめている。 1)データ収集:大阪大学歯学部附属病院咀嚼補綴科に通院する上顎腫瘍術後患者は、27年度で26名となり、年間予定人数に達している。この全てが術前紹介をうけ、検査が可能な対象者に対しては、術前から評価を行うことができた。術後、補綴治療を必要となった対象者は10名である。 2)機能評価:QOL評価(アンケート調査(EORTC-C30,EORTC-H&N35))・性格テスト(TEG2)・機能評価(グミゼリーを用いた咀嚼能率測定・デンタルプレスケールを用いた咬合力測定・30ml水飲みテストを用いた水飲みテスト)を行った。術前においては、QOL評価と機能評価において腫瘍の重症度によってばらつきが見られた。性格テストについては、現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集において、対象となる術前紹介の上顎口腔腫瘍患者数が当初予定目標に達していない。解析については、今後性格テストの結果から他の評価項目との関連について明らかとなり、これらより上顎口腔腫瘍患者の補綴による治療効果との関連も含めて明らかになると考える。QOL評価、機能評価のデータより、術後のQOL低下、機能低下が明らかになっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる28年度は、データの収集を継続すると同時に分析を行っていく予定である。性格テストとの関連、補綴の効果について関連因子を明らかにしていく事を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表と論文作成が当初計画していた目標を達せなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度では精力的に学会発表と論文作成を行う。
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