被験者は片側臼歯部欠損患者109名(片側遊離端欠損患者61名、片側中間欠損患者48名)を収集し、補綴治療前の測定を完了し、57名は補綴治療後の測定も完了した。基本的診査(年齢、性別、歯式、咬合状態、食片圧入の有無、咬頬・咬舌の有無)、被験食品自由咀嚼時の両側咬筋筋電図、偏咀嚼の認識度(VAS)を測定した。 得られた筋電図データより、被験食品咀嚼時の左側および右側の咀嚼回数および偏咀嚼の程度の評価を行い、偏咀嚼と歯の欠損歯数、偏咀嚼の認識度(VAS)との相関分析を行った。 片側臼歯部欠損患者の歯の欠損歯数と偏咀嚼の程度について、有意な負の相関を認め、歯の欠損側の欠損歯数が少ない程偏咀嚼を示すことが示唆された。この結果を平成26年7月の日本顎関節学会にて報告した。また、片側臼歯部欠損患者の偏咀嚼の認識度と偏咀嚼の程度には、有意な正の相関を認め、片側臼歯部欠損患者は偏咀嚼の程度を認識していることが示唆され、この結果を9月の38th Annual Conference Of The European Prosthodontic Associationにて報告した。 今後は、被験者の収集および測定を継続し、データ測定完了後、得られたデータの統計解析を行い、欠損の様式(遊離端欠損、中間欠損)による偏咀嚼の程度の違いや、可撤性部分床義歯およびインプラント治療の補綴治療前後の偏咀嚼の変化を比較することで、偏咀嚼の因子や補綴治療が偏咀嚼に与える影響や補綴治療の種類が偏咀嚼に与える影響の違いを解明していく。
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