被験者は片側臼歯部欠損患者109名(片側遊離端欠損患者61名、片側中間欠損患者48名)を収集し、そのうち83名が補綴治療前の術前測定を行い、補綴治療後(可撤性部分床義歯治療、インプラント固定性補綴治療)の測定を完了した。基本的診査(年齢、性別、歯式、咬合状態、食片圧入の有無、咬頬・咬舌の有無)および被験食品(ピーナッツ、ビーフジャーキー、チューインガム)咀嚼時の両側咬筋筋電図、偏咀嚼の認識度(VAS)を測定した。 得られた筋電図データより、被験食品咀嚼時の左側と右側の咀嚼回数を求め、偏咀嚼の程度を評価し、補綴治療前後における偏咀嚼の程度の変化についての分析を行った。 その結果、片側臼歯部欠損患者への補綴治療はチューインガム咀嚼時の偏咀嚼の程度を有意に減少させることが示唆された。また、偏咀嚼の治療効果について、インプラント固定性補綴治療の方が可撤性部分床義歯治療よりも有意に高い治療効果を示した。これらの結果を平成27年日本口腔インプラント学会にて報告した。また、ビーフジャーキーやピーナッツにおいても同様の解析を行ったところ、インプラント固定性補綴治療および可撤性部分床義歯治療において補綴治療後の偏咀嚼の程度は有意に減少し、硬さの異なる被験食品においても補綴治療は偏咀嚼の程度を減少されることに寄与することが示唆された。この結果を平成28年1月の日本口腔インプラント学会九州支部会にて報告した。 論文については、左右側の咀嚼側を判定する方法についての論文がArchives of Oral Biologyに平成27年9月にアクセプトされ、健常有歯顎者と片側臼歯部欠損患者の偏咀嚼に関する論文がJournal of Oral Rehabilitationに平成28年3月にアクセプトされた。
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