現在インプラント治療は高い成功率を示す一方、適応範囲の拡大につれ、埋入部位の骨が不足している患者に対し十分な骨を再生できるかが重要な鍵となる.骨造成を行うにあたっては様々な骨補填材が用いられているが、それぞれに長所、短所がある.それらより求められる材料の条件として①骨形成のための細胞の足場となる三次元構造を有し、②その材料自体が早期に骨置換し、③咬合圧に耐える程度の強度を有し、④為害性がないことがあげられる. 本研究では骨置換能が高いことが報告されている炭酸アパタイトの構造を改良し,3次元連通気孔を有する炭酸アパタイトまたはスタチンを混合したものを作製した.SEM像で微細構造を確認したが,硬化体に比べ力学的強度を付与することはできなかった.動物実験では作製した顆粒を脛骨骨欠損部に,ブロック体を頭蓋部に挿入し骨への置換能を評価した. 結果では炭酸アパタイトおよびスタチン混合炭酸アパタイトいずれも骨置換が見られたが、頭蓋部モデルではブロック体と骨との非生着が部分的に見られた.スタチン混合による臓器への為害性は血液検査より見られなかった.このことからより強度があり生着能のよい骨補填材を改良して作製する必要性があると考えられる.
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