口腔乾燥症に対する新規治療法として、申請者は唾液腺組織に対する局所的温熱作用による唾液分泌促進について研究を行ってきた。本研究では、温度上昇に伴う細胞内カルシウム濃度上昇に着目し、細胞外カルシウム流入メカニズムと目されるTRPチャネルの関与について明らかにすることを目的とした。研究結果から、25℃から37℃への温度上昇では細胞外からのカルシウム流入が細胞内カルシウム濃度の上昇に関与している可能性は低く、また組織学的検査から唾液分泌に重要なチャネルやトランスポーターの局在の変化は認められなかった。今後温度上昇に伴う唾液分泌に関与するタンパクについてさらなる研究が必要であると考えられる。
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