研究課題/領域番号 |
26861659
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
徳江 藍 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (20712102)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎 / デブライドメンド |
研究実績の概要 |
インプラント周囲炎は口腔インプラントの普及に伴い年々増加の一途を辿っているが,患者にとって自覚症状が少ないため,重症化している症例が多い.インプラント周囲炎に罹患し汚染されたインプラント体を除染する方法としてチタン製スケーラー,切削器具,Er-YAG レーザー,CO2レーザー,β-TCPを用いたエアアブレーション,フォトダイナミックセラピーなどが行われているが,有効な除染法は確立されていない.そこで今回,工業界で応用され水を圧縮させ小さな気泡の形状にし,除染を行うことができるキャビテーションピーニングに着目した.キャビテーションピーニングを用いて除染を行い,インプラント体周囲の歯槽骨にどのような影響を及ぼすのか検証し,低侵襲,簡便,効果的そして安全なインプラント体のデブライドメンド法としてキャビテーションピーニングを国民に供給し, リオッセオインテグレーションの獲得を目指す. 本年度は,インプラント体に対するキャビテーションピーニングの有用性を検証するために,歯周病原菌の一つであるA. actinomycetemcomitansのLPSを用いて,インプラント周囲炎モデルの確立を行った.まず,6週齢のウスター系ラット,オスの上顎左側第一大臼歯を抜歯後,直径1.5mm, 長さ4mmのチタン製インプラント(JIS規格2)を鋳造により作製したインプラント体を同部に植立する.そのミニインプラントを埋入後4週にCTにてオッセオインテグレーションの獲得を確認したのち,ミニインプラント周囲にA. actinomycetemcomitans由来のLPSを注入,48時間ごとに計4回注入し,インプラント周囲炎を惹起させた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているとした自己点検評価の一番の理由としては,当初インプラント体にA. actinomycetemcomitansをコーティングしその後インプラント体を埋入する予定であったが著しい骨欠損を起こすことが,想定以上に困難であったことにある.現在,別の方法によりインプラント周囲炎を惹起させ,骨欠損を引き起こす研究を遂行中である.一定のインプラント体汚染モデルの確立がこの実験の成功に重要な要素となるため,これを改善していきたいと考える.
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今後の研究の推進方策 |
歯周病原菌の一つであるA. actinomycetemcomitansのLPSを用いて,インプラント周囲炎モデルの確立を行った.まず,6週齢のウスター系ラット,オスの上顎左側第一大臼歯を抜歯後,直径1.5mm, 長さ4mmのチタン製インプラント(JIS規格2)を鋳造により作製したインプラント体を同部に植立する.そのミニインプラントを埋入後4週にCTにてオッセオインテグレーションの獲得を確認したのち,ミニインプラント周囲にA. actinomycetemcomitans由来のLPSを注入,48時間ごとに計4回注入し,インプラント周囲炎を惹起させ屠殺する. 骨を含んだインプラント体を採取後,欠損部周囲骨を削合し,汚染面を明示した試料にキャビテーションピーニングを含む各種デブライドメンド法により除染を行い,SEM,XPS,EPMAにより除染の評価を行う. また骨細胞は熱や圧力に弱い性質をもつため,インプラント体の周囲歯槽骨に対する影響を想定し,キャビテーションピーニングやエアアブレーションによる骨細胞への影響を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初インプラント体にA. actinomycetemcomitansをコーティングしその後インプラント体を埋入する予定であったが著しい骨欠損を起こすことが,想定以上に困難であったため,ラットの購入数が少なくなったたことが原因と考える.現在,別の方法によりインプラント周囲炎を惹起させ,骨欠損を引き起こす研究を遂行中である.
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次年度使用額の使用計画 |
一定のインプラント体汚染モデルの確立がこの実験の成功に重要な要素となる.インプラント体汚染モデルの確立後,大量生産を行い,デブライドメンドを行う装置を購入する必要があるため,前年度未使用額を用いて実験を行う必要がある. 骨細胞は熱や圧力に弱い性質をもつため,インプラント体の周囲歯槽骨に対する影響を想定し,キャビテーションピーニングやエアアブレーションによる骨細胞への影響を検証する.そのため,アポトーシスを検出するためのキットなど試薬が必要である.
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