研究実績の概要 |
口腔インプラント治療は,固定性補綴の実現,残存歯への少ない侵襲,質の高い審美的・機能的回復が可能であることから,欠損補綴の有力な治療法として臨床応用されているが,インプラントは天然歯の周囲組織よりも栄養血管が少なく,炎症に対する抵抗性が極めて低いという特徴のため,インプラント周囲炎は口腔インプラントの普及に伴い年々増加の一途を辿っている.インプラント周囲炎に対する治療法の中には,汚染されたインプラント体を除染する方法は様々あるが,有効な除染法は確立されていない.工業界で応用されているキャビテーションピーニングに着目し,それを用いて除染を行い, インプラント体周囲の歯槽骨にどのような影響を及ぼすのか検証した.まず,インプラント体に対するキャビテーションピーニングの有用性を検証するために,歯周病原菌の一つであるA. actinomycetemcomitansのLPSを用いて,インプラント周囲炎モデルの確立を行った.6週齢のwister系ラット,オスの上顎左側第一大臼歯を抜歯後,直径1.5mm,長さ4mmのチタン製インプラント(JIS規格2)を鋳造により作製したインプラント体を同部に植立した.そのミニインプラントを埋入後4週にμCTを撮影し,オッセオインテグレーションの獲得を確認したのち,ミニインプラント周囲にA. actinomycetemcomitans由来のLPSを注入,48時間ごとに計4回注入し,インプラント周囲炎を惹起させ,埋入後7週に屠殺した.コントロールとして,インプラント埋入後4週にPBSをミニインプラント周囲に注入したラットを埋入後7週に屠殺した.骨を含んだインプラント体を採取後,現在標本はホルマリンに浸漬後70%アルコールに置換後,μCTによる骨計測,トルイジンブルー染色による組織検査により組織の評価を行った.
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