二次元での唇舌的な吸収量は、骨移植部の最大豊隆部を通る矢状断面を構築し、その断面上にて、インプラント体頸部を想定して歯槽頂から2㎜の部位、またインプラント体先端部歯肉頬移行部から2㎜の部位にて計測をおこない、その差を唇舌的吸収量としました。骨移植後からインプラント埋入後4-5カ月経過した唇舌的吸収量は、約0.7㎜から、3.6㎜の間でありました。三次元的な吸収量は、各模型データ間の差分をとり、その体積を求めることにより得られました。骨移植後4から5カ月経過した体積量を、またインプラント埋入後4から5カ月経過した体積量を計測し、吸収量を算出しました。ケース1において、258,24立方ミリメートルから、73,69立方ミリメートルの減少で、約71%の吸収、ケース2において、228,11立方ミリメートルから、80,38立方ミリメートルの減少で、約65%の吸収、ケース3においては、362,24立方ミリメートルから、242,24立方ミリメートルの減少で、約33%の吸収が確認できました。三次元形状計測法を使用した模型データによりは、移植骨の経時的 変化を評価することが可能でありました。この方法により、任意の断面における骨量の二次元的な定量化のみならず、三次元的な体積の評価もおこなうことができました。治療上必要とされる歯列模型を使用して、骨移植後の吸収量を計測することは大変有意義であると考えられます。このソフトはCTデータとの重ね合わせも可能であり、表面データによる比較だけでなく、将来的には、骨移植部位の周囲組織との位置関係を確認でき、治療後の評価、またさらには術前の患者とのコミュニケーションツールとしても有効活用できると考えています。
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