ラットの唾液腺細胞を生体外で Rho Kinase作用薬を用いて長期安定培養を行い、放射線照射による唾液腺萎縮モデルラットに細胞移植することで、唾液腺機能再生療法を新規に開発することを本申請研究の最終目的としている。 平成27年度の研究計画「放射線性唾液腺萎縮ヌードラットの唾液腺機能回復の検証」を予定通り遂行した。具体的には、GFPラット顎下腺細胞を Rho Kinase作用薬を用いて長期培養を行い、約2.0×106個の唾液腺細胞をカテーテルを用いて放射線由来唾液腺萎縮ヌードラットの顎下腺に注入した。1週間おきに細胞移植を行ったヌードラットの腹腔内にピロカルピンを注射することで唾液分泌を促し、唾液腺細胞移植群と非移植群の唾液量の変化を比較した。唾液腺細胞非移植群に比べ、移植群において唾液流出量の回復が確認されたことから、本研究が近い将来、放射線照射後等の重症口腔乾燥症患者の唾液腺機能回復につながると考えられ、口腔乾燥症に苦しんでいる患者にとって大きな福音になると考えられた。
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