研究課題
顎口腔領域の顎骨疾患に対し、骨の造成は患者のQOL向上のために、非常に重要であり、現在患者自身の侵襲を伴う自家骨移植の他に、有効な方法は確立していない。また、近年、骨形成促進タンパク質であるBMPの臨床応用の報告は散見されるが、その使用の有益性は確証されていない。前回、我々はバイオインフォマティックス解析で、骨形成タンパク質であるBMPに関連した、骨形成促進因子(Vwc2、Vwc2-like)を発見したため、今研究ではそのメカニズムを解明し、少しでも早い臨床応用を目的とする。平成29年度1.マウス頭蓋骨への蛍光標識と、石灰化速度の測定:骨に沈着する蛍光物質を一定期間ごとにマウスに注射し、非脱灰切片を作成した。蛍光顕微鏡の画像で骨石灰化速度の計測を行なった。骨石灰化速度は2つの標識間の距離を測定し、1度目の標識から2度目の標識までの期間で割って、1日あたりの石灰化した骨の厚さを算出した。VWC2が、石灰化速度を上昇させ、欠損した骨の骨形成を促進させることがわかった。2.マウス頭蓋骨切片を使用した蛍光免疫染色:Vwc2タンパク質を含ませたコラーゲンスポンジをマウス頭蓋骨欠損モデルに充填し、4週間作用させた検体をパラフィン包埋切片にし、骨芽細胞分化マーカーであるOsterixの抗体を使用して蛍光免疫染色を行った。コントロール群と比較してOsterixの発現に優位な上昇を示す結果は得られなかった。3.データのまとめと論文投稿:in vitroおよびin vivoのデータをまとめ、英字論文であるJournal of Oral Tissue Engineeringに投稿、平成30年5月1日にPublishされた。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Oral Tissue Engineering
巻: Volume 15 Issue 3 ページ: 131-142
https://doi.org/10.11223/jarde.15.131