研究課題/領域番号 |
26861672
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小柳 達郎 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (70632173)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎治療 |
研究実績の概要 |
インプラント治療は欠損補綴の治療法の一つとして、頻繁に活用されるようになり、口 腔機能回復に重要な役割を果たしている。一方で、インプラント治療後のトラブルも増え続けており、なかでもインプラント周囲炎はその頻度が高い。現在、様々な治療法が試みられてはいるが、治療法が確立されているとは言い難い。本研究の目的は、インプラント周囲炎治療を通じて、原因となる細菌叢と臨床的パラメーターを記録し、細菌叢の変化と治療効果との関連を検討すると共に、インプラント周囲疾患の診断・治療上の指標となる細菌学的因子を解明し、新たな治療プロトコールを開発することである。 本年度はインプラント周囲炎罹患部位と歯周炎罹患部位をもつ15名の被験者より臨床的パラメーター(歯周ポケットの深さ、歯肉からの出血の有無、X 線写真上での骨吸収度)の測定および粘膜下/歯肉縁下プラークサンプルの採取を行った。プラークサンプルは細菌DNAの抽出・増幅まで行った。インプラント周囲炎に罹患した10部位に関しては、本研究におけるインプラント周囲炎治療法の流れに沿って、清掃指導・機械的口腔清掃、化学療法、機械的デブライドメントを行った後、外科的介入まで治療が進行し、いくつかの症例ではその後のプラーク蓄積因子の除去を目的とした遊離歯肉移植術まで治療を行っている。それらの部位に関しては今後、治癒を待ち臨床的パラメーターの測定および細菌サンプルの採取を行っていく予定である。その他5部位に関しても、現在段階的に治療が進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、本年度中に25名の被験者から治療前サンプルを採取し、併せて臨床パラメーターを測定する予定であったが、インプラント周囲炎罹患部位の存在は認められるものの、インプラント体周囲既存骨の残存骨量が 5mm 未満であり、撤去が第一選択となるような除外部位の存在も目立ったため、当初の目標数を下回った。しかし、治療介入部位では治療後サンプルの採取を行えるところまで、治療が進行している症例も存在するため、研究全体ではおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、治療前サンプルの採取および臨床的パラメーターの測定を行うとともに、治療介入部位に関しては段階的な治療を進め、治療後サンプルの採取および臨床的パラメーターの測定を行う。細菌サンプルの解析に関しては、16S rRNA クローンライブラリー法を用いて細菌種を同定し、細菌学的診断マーカー候補の検討後、治療前後の細菌サンプルを real-time PCR 法にて解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
治療介入部位数が当初の目標数を下回り、治療時に使用する消耗器具の購入を控えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
細菌DNAおよびRNA抽出試薬、シークエンス用試薬の購入にあてる。 また、治療時に使用する器具の購入にあてる。
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