研究課題/領域番号 |
26861680
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
前田 雅彦 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80453166)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒト骨髄由来間葉系細胞 / 免疫不全ラット / 細胞シート / 骨形成 |
研究実績の概要 |
①ヒト骨髄間葉系細胞(ヒト骨髄MSC)由来骨形成細胞シートの作製、in vitro評価 ヒト骨髄MSCを使用し、デキサメタゾン、アスコルビン酸添加培地で培養を行うことにより骨形成細胞シートを作製した。添加因子の濃度と培養日数を調整することで、ヒト骨形成細胞シートのDNA量、ALP活性値に加え、シートとしての強さ、しなやかさを確認し、最適と考えられる条件を設定した(デキサメタゾン濃度:100nM、アスコルビン酸濃度:20.5ug/ml、培養日数:10日)。
②免疫不全ラットへの移植、in vivo評価 上記条件により作製したヒト骨形成細胞シートを折りたたみ、塊状としてラットの下顎骨正中部の骨欠損部位に移植した。移植に使用したレシピエントラットは F344/NJcl-rnu/rnuを使用した。移植後8週目で顎骨を摘出し、micro-CTによるX線学的評価および組織学的評価を行ったが、いずれにおいても骨形成は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、ヒト細胞を使用して実験を行った。前年度に実験を行っていたラット細胞に比較すると、ヒト細胞は個体により分化能が著しく異なることが問題であった。そのため、複数検体を使用して、ヒト骨形成細胞シートの作製条件を設定することが必要であった。 また、免疫不全ラットを使用したin vivo実験では、骨形成が全く認められなかった。骨形成がみられなかった原因を検索するため、免疫不全ラットを使用した皮下移植による実験を計画し、現在進行中である。 上記理由により、本研究はやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ラット下顎骨骨欠損への移植実験は、侵襲が大きいことに加え、ラット1匹に対して1検体の移植しか行えない。対して、ラット皮下移植実験は低侵襲であり、1匹で複数の検体を移植することが可能である。 免疫不全ラットを使用した皮下移植実験を行うことにより、ヒト骨形成細胞シートの作製条件をin vivo実験で再度設定するとともに、今回使用しているF344/NJcl-rnu/rnuが骨形成実験に対して適切な免疫不全動物か、検討を行う。必要に応じて、他の免疫不全動物を使用することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫不全ラットの顎骨骨欠損部を使用したin vivo実験において、予想していた結果が得られなかったため、使用額が減少した。 前年度に設定した条件で作製したヒト骨形成細胞シートの移植で、免疫不全ラットに骨形成が認められたら、結果の再現性を得るために検体数を増やす予定であった。しかし、骨形成細胞シートの条件設定を再度行う必要があったため、再現性獲得のための免疫不全ラット購入費用が本年度は必要なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在進行中の実験により、再度ヒト骨形成細胞シートの作製条件を設定する。その後、本年度に行う予定であった移植実験を行う予定であり、その費用として使用する予定である。
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