研究課題
本研究ではBMPにおける骨芽細胞分化のメカニズムの一端を解明するため、WNTシグナル経路、特にWNT阻害因子群に着目し、更なる詳細な分化メカニズムの解明を行うことを目的とした。正常ヒト歯周靭帯線維芽細胞hPDLFを使用し、骨芽細胞分化誘導培地(OBM)にて誘導を行った。BMP2/7とDEXの同時投与はHPDL細胞を骨芽細胞分化させ、その分化は活性化SMADの抑制により起こることがわかった。また活性化SMADの抑制はWnt阻害因子であるスクレオスチンの減少させ、WNT経路を活性化している可能性を示唆した。以前の研究でHPDL細胞に低濃度Wnt3aを複数回投与することによりALP発現が抑制され、その抑制は活性化smadの抑制により起こることがわかった。BMP経路とWnt経路は、基本的には独立したシグナルメカニズムを有するが、しばしば同じ生物学的プロセスを調節することが知られている。活性化SMADを抑制することによりBMP2/7・DEX複合投与では骨芽細胞分化が促進された。さらにこのSMADの抑制はSOSTの減少を引き起こした。このことよりWNT経路の活性を促し、骨芽細胞分化を促進した。BMP/DEXに誘導される骨芽細胞分化はDKK1ではなくSOSTの発現が中心となって行われていると示唆される。WNT経路は骨芽細胞分化において重要であり、SOSTは骨粗鬆症の原因因子として考えらることから骨形成の治療薬としての発展が見込まれる。
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