研究実績の概要 |
多くの器官形成は胚発生過程における胚性幹細胞スフェロイド中の細胞死、管腔形成と自発的な分化に関連性がある。こういう現象は胚性幹細胞を用いて部分的に再現できるが、成人幹細胞による管腔形成および器官形成はまだ報告されていない。本研究はヒト歯髄幹細胞を用いて、器官形成の過程における管腔形成及び自発的な分化を再現した。ヒト歯髄幹細胞は三次元培養下で大きなサイズのスフェロイドを形成し、その中心部には低酸素状態を示し、大量の細胞死が観察された。培養14日後、スフェロイド内部に管腔が形成された。28日後、生存細胞は自発的に神経系 (28.8%), 内皮系 (33.3%), 骨系 (46.7%)と軟骨系 (72.0%)の組織に分化した。それに対して、ヒト歯髄幹細胞シート由来の細胞塊は管腔様構造を形成したものの、多分化現象は観察されなかった。さらに、分子生物学的な手法で調べたところ、スフェロイドの管腔沿いに管腔形成関連分子であるBMP7とFGF3が発現し、その管腔形成が機能的であることが示唆された。結論として、ヒト歯髄幹細胞由来スフェロイドは器官発生中の細胞生存、管腔形成および自発的な分化を再現することが可能である(Xiao et al.,Biol Cell. 2014;106:405-419. )(Xiao et al., Neural Regeneration Research. 2014;9: 1253-1260.)(Xiao et al., Stem Cells Cloning. 2014;7:89-99.)
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