研究課題/領域番号 |
26861690
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
豊村 順子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80645630)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯の再生 |
研究実績の概要 |
臨床で入手可能な細胞で、しかも再生歯が必要となる年齢の歯を用いて歯・歯周組織ユニットを再生する為に、まず生体と一致した構造の歯冠の形成を試みた。 歯冠形成に有用な細胞源として、エナメルを形成する能力を維持していると考えられ、分離培養しやすいブタのマラッセ上皮遺残細胞とマラッセ上皮遺残細胞のエナメル上皮細胞への分化を促進する為にヒトの歯髄細胞を用いた。マラッセ上皮遺残細胞の分離は以下の方法で行った。ブタの抜去歯から歯根膜を尖刀でこそぎ落とし培養すると、線維芽細胞のシートの中にマラッセ上皮遺残細胞コロニーが散在した。ここからマラッセ上皮遺残細胞をcolonial cloningし、マラッセ上皮遺残細胞を分離した。細胞の同定はCytokeratin14・Amelogenin・Ameloblastin・Enamelin・Tuftelinの免疫染色とRT-PCRで行い、発現を確認した。 In vivoで生体と一致した構造の歯冠を形成させるために、内部にヒト歯髄細胞を入れたアテロコラーゲンビーズにブタマラッセ上皮遺残細胞を付着させたもの(細胞ビーズ)を5~6週齢のスキッドマウスの腹腔内に移植し、14日、28日後に開腹し細胞ビーズを探したところ、ほとんど見つけることが出来なかった。その原因の1つとして、コラーゲンの分解速度が関係していると考えられ、分解速度が早いと歯冠様組織の形成前に足場であるコラーゲンがなくなってしまう為、うまく形成できなかったと考えられた。 そこで、ヒト歯髄細胞を入れたアテロコラーゲンビーズを作製するときにビーズを固めに作製し、ブタマラッセ上皮遺残細胞を付着させ、スキッドマウスの腹腔内に移植し14日後に摘出したところ、細胞ビーズが確認された。ビーズの周囲で、しかもビーズに接した部分には大型の細胞が存在した。この細胞がエナメル上皮か否か検討中であるが、ビーズ内に膠様組織(胎児の臍帯に見られる結合組織)に類似した細胞が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
In vivoで生体と一致した構造の歯冠の作製の条件検討に時間がかかったため
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今後の研究の推進方策 |
In vivoでヒト歯髄細胞とマラッセ上皮遺残細胞を用いた細胞ビーズで生体と一致した構造の歯冠の形成を行う。歯冠の形成にはコラーゲンの分解速度との兼ね合いがあると考えられるため、ヒト歯髄細胞を入れたアテロコラーゲンビーズの固さを検討する。また、スキッドマウスの腹腔内に28日間移植するなど、歯冠形成に至れる条件を検討する。 In vivoで歯冠の形成が確認できたら、その結果をふまえてin vitroでも形成できる条件を検討する。 また、内部にヒト歯髄細胞を入れたアテロコラーゲンビーズにブタマラッセ上皮遺残細胞を付着させたもの(細胞ビーズ)の周囲を歯根膜シートで巻いたものでスキッドマウスの腹腔内に移植して、歯・歯周組織ユニットを完成させる。In vitroでも歯・歯周組織ユニットを作製できる条件検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の実験予定だったin vitroの実験での培養関係の試薬や器具を購入する予定にしていたが、実験が次年度にのびたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
In vivoの実験における実験動物の購入やin vitroでの実験における培養液関係の試薬、ピペットやシャーレなどの培養消耗器具の購入に使用する。
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