研究課題
口腔癌において低分化型口腔癌は浸潤性・悪性度が高く急速に転移を起こすことがある.一方,腫瘍血管新生は癌の浸潤性や悪性度と相関があり,高分化型に比べ中・低分化で有意に高いとする報告が散見される。腫瘍血管新生は口腔癌においても浸潤や悪性化にも重要な役割を果たしているものと思われる.我々は分化度や浸潤様式の異なる口腔癌において腫瘍血管内皮細胞の特性が異なると仮説をたて、研究を行った。本年度(H26年度)は、低分化口腔細胞株をヌードマウスに皮下移植し、それらのマウス皮下および同所移植腫瘍から血管内皮細胞を分離・培養し,血管内皮の特性解析を行った。また、コントロールとして正常マウスの皮膚由来の血管内皮細胞を分離・培養した。H27年度は高分化型の口腔癌細胞株をヌードマウスに皮下移植し、得られた腫瘍塊から腫瘍血管内皮細胞を分離・培養予定である。また、これらのin vitroの実験と平行して、我々が日常臨床で治療を行った口腔癌患者の切除組織切片において、血管の未熟性と低酸素状態と悪性度との関連についても免疫染色を行った。癌の進行に伴い癌組織では酸素が不足し、癌の一部は低酸素に曝されている。低酸素が腫瘍細胞の①アポトーシスの回避、②薬剤抵抗性の獲得、③転移能の亢進などを誘導し,がんの悪性度と関連していることが近年明らかになってきている。しかしながら、口腔癌においてこのような仮説に対しての研究報告は見られない。我々は現在、このような仮説に対して、口腔癌患者の切除組織切片において、CD31、αSMA、デスモグレイン3、HIF-1αを既に染色し、現在評価中である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は低分化口腔細胞株をヌードマウスに皮下移植しそれらのマウス皮下および同所移植腫瘍から血管内皮細胞を分離・培養し,血管内皮の特性解析を行った。また、コントロールとして正常マウスの皮膚由来の血管内皮細胞を分離・培養した。また、我々は口腔癌の臨床サンプルを用いて口腔癌において、現在、口腔癌患者の切除組織切片において、CD31、αSMA、デスモグレイン3、HIF-1αを既に染色し、血管の未熟性と低酸素状態と悪性度との関連について現在評価中である。
我々は現在、口腔癌患者の切除組織切片において、HE染色、CD31、αSMA、デスモグレイン3、HIF-1αを既に染色し、現在評価中である。口腔癌組織で低酸素にさらされている症例やHIF1αが高い癌の症例では、腫瘍血管が未熟(CD31陽性の血管内皮細胞が、αSMA陽性の壁細胞でカバーされていない。)であるのかなど口腔癌におけるがんの悪性度と関連のある低酸素状態と血管構造の未熟性との関連について検討をしたいと考えている。
研究費の使途はほとんどが消耗品、共同研究での免疫染色での費用である。免疫染色が予想以上に円滑に進展し、予備実験で必要と考えていた抗体の消費量が少なくすんだため、次年度使用額が生じた。
免疫染色で、当初予定したい抗体よりも種類を多く染色して実験を行う予定である。
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