研究課題
本年度は口腔癌の①腫瘍血管の形態的構造と②腫瘍微小環境における低酸素の関連について解析した。具体的には、①「FMISO-PETで描出される腫瘍微小環境内の低酸素領域における腫瘍血管がどのような形態構造を呈しているか?」について検討を行った。「低酸素に曝されている癌症例やHIF-1αが高い癌の症例では、腫瘍血管が未成熟(immature:血管内皮細胞に壁細胞がカバーされておらず、漏れやすいのではないか」との仮説のもと、いくつかの血管内皮関連マーカーで免疫組織染色を行った。すでのFMISO-PETでSUV値を計測した口腔癌症例(22例)に対して検討を行った。計測した血管内皮関連マーカーは以下である:CD31、αSMA、claudin 5。非癌部ではほとんど血管がcoverageされていた。一方SUVが低値を示し、低酸素に曝されていると考えられた口腔癌症例の血管内皮では、未成熟な血管が多く観察された。現在、口腔病理医に腫瘍血管の成熟度をスコアリングしてもらい(0:未成熟、1:0と2の中間、2:成熟)と定性的に評価して、低酸素(SUV値が低い考えられる)との関連現在解析中である。H28年度の実績として報告できるよう鋭意研究中である。もう一点、我々は血管新生阻害因子として知られるvasohibin1の発現解析をすすめている。北海道大学病院で切除した口腔扁平上皮癌33 症例をもちいて,CD31 とVASH1 の組織免疫染色を行い、VASH1 発現をImage J により算出した。各症例におけるVASH1の発現と臨床病理学的因子や予後との関連について検討を行った。まず,第一に非がん部血管ではVASH1 は染色されなかったのに対し,腫瘍血管内皮ではVASH1 が強く染色された。本解析において腫瘍組織におけるVASH1 は腫瘍血管内皮細胞だけではなく、血管以外の間質細胞にも染色された。腫瘍血管内皮マーカーとしてのVASH1の可能性についてもH28年度は解析をすすめたいと考えている。
2: おおむね順調に進展している
免疫染色は染色抗体の染色抗体の予備実験で時間を費やしたが、染色条件が確立した後は予定通り、進展している。今後、染色した標本のスコアリングと臨床的パラメーター(低酸素状態と腫瘍血管の成熟度、予後、転移の有無、再発の有無)との関連について検討したい。
免疫染色は染色抗体の染色抗体の予備実験で時間を費やしたが、染色条件が確立した後は予定通り、進展している。今後、染色した標本のスコアリングと臨床的パラメーター(低酸素、腫瘍血管の成熟度、転移の有無、再発の有無)との関連について検討したい。
αSMAの染色条件の検討の予備研究に必要と考え、数本の抗体検討を予定していた。実験が順調にすすみ、抗体を購入の必要がなくなったため。
次年度に、別の血管内皮マーカー抗体購入分として、費消予定である。
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