研究課題
われわれはこれまで腫瘍血管内皮細胞には正常血管内皮細胞と比較して発現の高い分子が複数あることを報告してきた.その1つであるC-X-C chemokine receptor type 7 (CXCR7) は腎癌など幾つかの癌の腫瘍血管において発現していることを報告してきた。しかし口腔扁平上皮癌の血管内皮細胞におけるCXCR7の発現については未だ不明である.北海道大学病院にて切除された口腔扁平上皮癌の組織検体のうち,HE染色,CD34免疫染色による解析が可能な症例を用いた。ランダムに選択した10視野からhot spot (CD34陽性血管が特に多い領域) を5視野選択し,連続切片でCXCR7抗体による免疫染色を行い,CXCR7陽性血管の割合を算出して評価した.癌部のCXCR7陽性血管の割合は41.9%,非癌部における陽性血管の割合は18.8%で,非癌部に比較し癌部の血管では有意にCXCR7発現の割合が高かった.腫瘍血管におけるVasohibin、CXCR7発現は患者の予後予測マーカーとして応用できる可能性が示唆された。さらに我々はPentraxin3という分泌タンパクに注目した。腎がんを始めとする複数の癌腫において発現を確認した。血管内皮マーカーであるCD31とPentraxin3の蛍光2重免疫染色において、正常な部位の血管に比べて、腫瘍血管において、Pentraxin3が強発現している血管が多く認められた。Pentraxin3が血管新生阻害療法のTarget分子になりうることが示唆された。
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