研究課題/領域番号 |
26861695
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浅香 卓哉 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80637265)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PRF / ビスホスホネート |
研究実績の概要 |
ビスホスホネート内服患者の抜歯時におけるPRF使用に関する臨床研究では、計31例にPRFを実施し、中断症例2例(PRFと異なる要因による治療プロトコールからの脱落)を除いた29例において、抜歯1ヶ月以内の上皮化が確認され、その後の感染や骨露出を含めて、顎骨壊死発症は認められなかった。過去の当科で実施したビスホスホネート内服患者に対する抜歯時に認めた抜歯窩治癒遅延の発症頻度と比較して、有意な抜歯窩治癒遅延防止効果があることが証明された。 本結果については、2015年日本口腔外科学会総会ならびに2016AAOM(米国口腔内科学会)にてポスター発表を行った他、さらに本研究結果を論文投稿中である。 また、動物モデルに対する研究として、マウスに対するPRFの採取方法を確立し、実際にラットの上顎臼歯に対する抜歯と同部へのPRF充填を実施した。非PRF充填群と比較すると抜歯1週間以内の比較では、抜歯部におけるPRFの組織治癒促進効果と考えられる、創部の閉鎖が認められた。しかし、2週間以降では肉眼的な創部の状態に明らかな差は認められなかった。PRF充填が不十分であった可能性や、人と異なり、PRF保持のための縫合ができていないことにより、PRFが十分創部に留まらなかった可能性が原因として考えられる。しかし、抜歯窩のそのものの骨新生状態や分子生物学的評価については未だ十分な解明ができておらず、PRFの骨への効果についてさらに解明を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床におけるBP内服患者に対するPRFの効果は十分に確認できたが、さらにBP点滴製剤使用患者の抜歯におけるPRFの効果を評価するにあたり、昨年度より再生医療等に関する法案の施行に伴い、院内委員会への申請手続きが費用面等で難渋したため、遅延の原因となっている。 動物モデルでの評価についても、健常ラットの抜歯時でのPRF充填の際にも明らかな組織学的変化が十分に観察されず、免疫組織学的評価を繰り返しているため、遅延の原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
BP内服患者への抜歯に対するPRFの効果については、早急に論文投稿を行う。また、院内の再生医療委員会での手続きを早期にすすめて、さらなる適応を広げる。 動物モデルでの評価についてはさらにPRF充填の条件を調整しながら、効果の評価を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物モデルの作成に時間を要したため、十分な動物実験が実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒトに対する臨床結果は必要数に達しており、現在学会発表と論文投稿中であるため、これらの投稿費用として予定している。
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