研究課題/領域番号 |
26861697
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松岡 真琴 北海道大学, 大学病院, 医員 (70645233)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / 細胞培養 / 誘電泳動 / 導電性 |
研究実績の概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)の持つ導電性を利用した細胞組織化の基礎的な検討として、CNTコートディッシュとCNTコートシリコーン、糸状のCNTを用い検討を行った。まずCNTコートディッシュでは細胞接着の促進を目的として通常付着性の弱いPC12やTHP細胞などを、誘電泳動を用いることでCNTコートディッシュ上に短時間で接着させることが可能であった。また、シリコーン表面にCNTを固定化した導電性材料では、電極となるCNT間に直線的な細胞の配列が可能であった。これは細胞により適正な周波数が異なっていた。また、本研究では付着性の細胞(本研究で使用した細胞としてはSaos-2、C2C12等)と比較し接着性の弱い細胞(PC12等)の方が集積や配列が容易であることが明らかになった。また、CNTを用いた三次元的培養を目的として通常接着しにくい形態の細い糸状CNTへ、誘電泳動を用いた細胞集積を試みた。CNTの導電性により多量の細胞を短時間で集積することは成功したが、細胞の足場としての形態としては適さなかったため集積後の細胞の接着および増殖の方法には課題が残った。これに対して、低温融解アガロースゲルを用いることでの解決を試みている。 また、毒性評価に関しては、単層、および多層のCNTコートディッシュを作製し、ディッシュ上で培養した細胞を長期的に継代し細胞増殖能や細胞分化への影響を評価したが、明らかな細胞増殖能の低下や細胞分化能への影響は認められなかった。 以上、本年度は、CNTを用いた導電性材料で、複数の細胞での配列および集積を行うことに成功した。また、本研究で用いたCNT材料が明らかな細胞毒性を認めないことも示された。これは今後、CNT複合材料を用いた細胞培養を進めていくにあたって非常に有用な結果と言えるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、複数の細胞を用いて実験を進めていたがそれぞれの細胞で誘導に必要な周波数が異なり、最適の条件を検索するのに時間がかかった。また、実験室の移動もあり研究が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では誘導した細胞の固定化について検討が必要である。現時点では分散液中に低温融解アガロースゲルを添加し、誘導後の細胞の移動を抑制しようと試みたが、分散液の濃度や温度管理等で条件の設定が困難であり、特にこの点について検索を進める。また、細胞毒性の評価については細胞内への取り込みについても評価する必要があり、次の段階としては蛍光分子を用いた評価を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はこれまでに使用していた材料を継続して使用したことと、実験進行の遅れがあり研究費の使用額が少なかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究計画に従って細胞誘導電極の開発および細胞固化の方法についての検索を予定しており、それらにかかわる消耗品を予定している。また、複数腫にわたる細胞を用いた実験を予定しており、それらの購入も検討している。
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