研究課題
本研究では,がんの転移における腫瘍血管内皮細胞の役割について検討している.平成26年度に作成した,2種類のGFP遺伝子導入血管内皮細胞(腫瘍血管内皮細胞,正常血管内皮細胞)をマウスの尾静脈から注入した.2日後および14日後に肺を摘出し,蛍光実体顕微鏡下で観察したところ,正常血管内皮細胞を注入したマウスの肺ではほとんどGFPシグナルが見られなかった一方,腫瘍血管内皮細胞を注入したマウスの肺ではGFPシグナルが認められ,腫瘍血管内皮細胞が転移前土壌を形成する可能性が示唆された.腫瘍血管内皮細胞において発現が高く,遊走に関わる分子としてGene Xに着目している.今年度はこのGene Xをin vivoで阻害すべく,siRNAを選定し,ドラッグデリバリーシステムで担癌マウスに投与した.腫瘍組織を摘出後,RNAを抽出し,Gene Xの発現レベルをReal-time PCR法にて解析したところ,30%程度ノックダウンされていた.現在,抗腫瘍効果,転移抑制効果が得られるかどうか検討している.また,臨床病理検体を用いて,この分子の発現を血管内皮マーカーCD31と共に蛍光二重免疫染色で検討した.凍結切片が得られた腎がん,大腸がん,肝がんにおいて,腫瘍血管で分子Xの発現が認められた.現在さらにパラフィン切片を用いて連続切片で,口腔癌における腫瘍血管の分子Xの発現を検討し,臨床病理学的因子との関係について検討している.
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http://www.igm.hokudai.ac.jp/vascular-biology/