研究課題/領域番号 |
26861702
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
佐藤 光一郎 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (20728125)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨・骨膜間空隙拡大 / 組織延長 / 骨再生 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
従来、萎縮あるいは欠損した顎骨に対して顎骨増生を行う方法としては、顎骨や腸骨・脛骨からの自家骨移植や、人工骨を用いた顎骨増生手術が行われてきた。しかしながら、自家骨移植の場合には、自家骨採取部位への外科的侵襲や採骨部位の術後感染など問題があり、人工骨を用いた場合には、骨質の問題や易感染性の問題があり、低侵襲で造骨能が高い再生医療技術の確立が望まれてきた。 本研究目的は、組織延長術を応用し骨・骨膜間を少しずつ拡大することで、生体の持つ治癒能力を賦活することにより拡大スペースに骨を誘導することである。最近の研究では、仮骨延長術に比べ形成される骨の量・質が劣ることが示唆されているため、間葉系幹細胞の注入により、骨・骨膜間の空隙の拡大による骨増量法が促進されるか検討を行っている。 研究室で開発した従来の骨・骨膜間空隙拡大装置では安定性と確実性に難があったため、従来の拡大装置を改良し、複数の延長装置を試作し、家兎の頭頂部に埋入試験を行った。新たな拡大装置にて安定して骨・骨膜間を緩徐に拡大することを確認した。また、頭頂骨表面に新生骨が誘導されることを確認している。また、次年度からの注入実験に備え、骨・骨膜間の空隙に注入する間葉系幹細胞の評価、成分の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2014年4月より鶴見大学に異動したため、計画していた動物実験施設が変更となり、鶴見大学での動物実験計画書、倫理審査委員会への申請などの手続き、実験器具の調達に時間を要した。研究室で開発した従来の延長装置では安定性と確実性に難があったため、初年度は、安定した骨・骨膜間空隙の拡大を行う装置の開発を行い、動物実験にて骨・骨膜間の空隙の拡大により間隙内の新生骨の獲得を確認できた。間葉系幹細胞の注入実験は初年度から行う予定としていたが、注入実験の裏付けとなるin vitro等の研究準備を優先し、来年度から注入実験を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
改良した骨・骨膜間空隙拡大装置を用い、安定した骨・骨膜間の空隙の拡大を行い、骨髄由来間葉系幹細胞の注入を行う。マイクロCTおよび組織学的な評価により骨増量の有無を確認するとともに経時的な観察を行い、長期間経過後にも骨評価を行う。間葉系幹細胞の培養条件、注入時期についても同時に検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、動物実験において間葉系幹細胞の注入実験を初年度より予定しており、細胞培養のための培地、抗生物質、ウシ血清や培養フラスコ、ディッシュ、ピペット等のプラスチック器具の購入を予定していたが、今年度は間葉系幹細胞の注入実験は行わなかったため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験に関連した飼育費、材料費の他、細胞培養のための培地、抗生物質、ウシ血清や培養フラスコ、ディッシュ、ピペット等のプラスチック器具の購入に使用する予定である。また、得られた結果から国内外の学会参加と論文投稿についても研究費を使用する予定である。
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