口腔癌の治療成績の向上には、予後不良因子とされる頸部リンパ節転移の制御が極めて重要であり、なかでも転移リンパ節に被膜外浸潤(ECS)を認めた症例は予後不良であることが認められている。しかしながら、ECSの詳細なメカニズムはいまだ明らかには解明されていない。今回われわれは、口腔癌原発巣のゲノム情報の解析を行うことで、頸部リンパ節転移におけるECSの新たな分類法、詳細なメカニズムの解明を図り、さらには術前にECSの予測ができないか検討を加える。 口腔癌症例のうち頸部リンパ節転移を生じたもののなかで、ECS陽性および陰性群に分け症例選択を行う。対象症例( ECS+ (N=4) vs ECS- (N=4))に関して、原発巣のFFPEサンプルからgenomic DNAを抽出し、それを用いてOncoScan FFPE assay (Affymetrix社)により全ゲノムコピー数解析を行った。このSNPアレイによって、各サンプルにおけるコピー数の増加/減少およびLOHを示す染色体領域の同定した。ここで得られたデータに関して、ECS陽性群と陰性群の間で比較検討することで、ECS陽性群に特異的なコピー数変異の同定を行った。ECS+とECS-群の間で、CNAの分布が異なることが示された。 ECS陽性群特異的なコピー数変異が検出された染色体領域上にコードされる遺伝子は、癌の増殖、進展、転移に関わると考えられる。
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