研究課題/領域番号 |
26861705
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
道川 千絵子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (00622648)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 被膜外浸潤 / 口腔癌 / リンパ節転移 / 扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
現在、口腔癌治療の国際的ガイドライン(NCCN guidelines)において、頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤は、治療のアルゴリズムに組みこまれており、術後治療立案のための重要な臨床的マーカーとされている。しかし、その病態は複数あると推察されているものの、詳細は明らかではなく、被膜外浸潤は1つの因子として、一括りに捉えられているのが現状である。 申請者は、過年度から行っている口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤がどのようなリンパ節にどのように生じるのか、病理組織学的・形態学的な詳細検索を続けた。本研究は、19症例、74個の転移リンパ節を対象としてスタートさせ、転移リンパ節の詳細な解析を試み、被膜外浸潤陽性リンパ節・被膜外浸潤陰性リンパ節、両者の違いについて解析を行った。これをもとに、症例数を増やし、75個の被膜外浸潤陽性リンパ節のみに対象を絞り、転移リンパ節内の腫瘍占有面積に対する被膜外浸潤部の面積など様々な因子を抽出し、被膜外浸潤陽性リンパ節のタイプ分類を報告した。ここで、臨床上有用な分類を目指すべく、各症例の分類も行い、カプランマイヤー法を用いて経過に対する生存解析を行った。模索する中で、あるリンパ節タイプと経過不良との関連性を示せた。そこで、さらに症例数を増やし解析したところ、同リンパ節タイプと臨床経過との間に強い関連性がみられたため、学会にて報告した。結果の信頼性を高めるため、現在、引き続き症例を増加中であり、2015年6月の日本・アジア頭頸部癌合同学会にて報告する。同発表は、アンダー40シンポジウムに採用された。 また、口腔癌頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤と関連する遺伝子群を抽出する目的に予定していた実験は、手法そのものを見直し、遺伝子変異解析へ計画変更したが、対象を選択し、計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被膜外浸潤を生じているリンパ節の病理組織学的・形態学的な解析は進められ、様々な分類方法を模索できた。さらに、対象症例数を増加させ、臨床上有用性のある(実用的な)データを算出するために、症例ごとの分類の模索、および、リンパ節の病態と症例の経過との関連性の解析ができた。だが、データの信頼性を高めるため、現在、症例数を増加中である。 また、口腔癌頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤と関連する遺伝子群を抽出する目的に予定していた実験手法そのものを見直し、遺伝子変異解析へ計画変更した。現在、結果を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
被膜外浸潤を病理組織学的・形態学的に詳しく検索した結果は、症例数を増やし、症例の経過との関連性を解析することで、臨床において有用性のあるデータにまとまりつつあるため、前年度までの作業を区切りとし、文章にまとめていく。 また、被膜外浸潤を生じているリンパ節の形態学的・病理組織学的な表現型の違いは、そのまま、分類ごとに、被膜外浸潤の生じるメカニズムが異なるという可能性が考えられた。被膜外浸潤を生じた口腔扁平上皮癌と関連している遺伝子変異を同定するために、現在得られた結果を解析するとともに、さらなる対象症例を選択し、変異解析データを蓄積していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
被膜外浸潤を生じているリンパ節の病理組織学的・形態学的な解析、症例ごとの分類の模索、および、リンパ節の病態と症例経過との関連性の解析ができたが、データの信頼性を高めるため、症例数を増加中である。 また、口腔癌頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤と関連する遺伝子群を抽出する目的に手法そのものを見直し選択した遺伝子変異解析をスタートさせたばかりである。
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次年度使用額の使用計画 |
被膜外浸潤を生じているリンパ節の病理組織学的・形態学的な解析に関して、臨床上有用性のあるデータを算出し、被膜外浸潤の分類の確立を目指す。 遺伝子変異解析に関して、現在得られている結果を解析するとともに、さらなる対象症例を選択し、変異解析データを蓄積していく。
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