研究課題/領域番号 |
26861709
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
今上 修一 富山大学, 大学病院, 医員 (80456392)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 免疫抑制細胞 / 化学療法剤 |
研究実績の概要 |
マウス口腔扁平上皮癌モデルを用いた化学療法剤ゲムシタビンの投与によるミエロイド系抑制性細胞myeloid derived suppressor cell(MDSC) および制御性T細胞 regulatory T cell(Treg)の発現変化の解析をマウス口腔扁平上皮癌SCCVII 細胞株を移植した担癌マウスに経静脈的にゲムシタビンを投与し、これらのマウスから腫瘍組織、顎下リンパ節、脾臓、末梢血をそれぞれ採取して別々に細胞を回収し、MDSC(CD11b、Gr-1 陽性細胞)および他の免疫系細胞としてCD4 陽性T 細胞、CD8 陽性T 細胞、CD19、B220 陽性B 細部、F4/80 陽性マクロファージ、CD11c陽性樹状細胞、NK1.1 陽性NK 細胞、CD4、CD25、Foxp3 陽性Treg 等の分布、各種表面抗原等をフローサイトメトリーにて解析したところ、MDSCおよびB細胞は有意に減少していることが確認され、その他の細胞集団は明らかな変化は認めなかった。 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、口腔癌担癌状態における免疫抑制性細胞であるミエロイド系抑制性細胞myeloid derived suppressor cell(MDSC)を標的化した新たな免疫療法の開発を目的としている。そこで、シンジェニックの口腔癌マウスモデルを用いた解析で、化学療法剤であるゲムシタビンがMDSCを選択的に除去することが確認された。このことは、本研究課題の今後の遂行においてきわめて重要な知見であり、今後の治療実験など様々な解析において有用な情報となりうる。また、治療実験を行うにあたっての条件検討は、すでに行われた動物実験において確証済みであることから、今後スムーズに実行することができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
ゲムシタビンを投与した担癌マウスおよび非投与群のマウスの顎下リンパ節からCD11b、Gr-1 陽性細胞およびCD4、CD25 陽性細胞をセルソーティングにより分離して、CFSE 染色 T 細胞と抗CD3/CD28 抗体刺激下で共培養を行い、化学療法剤の投与の有無による担癌マウスでのMDSC およびTreg の機能変化を評価する。また、申請者らが所有する数種類のヒト口腔癌細胞株をIFN-γ、IFN-α、IFN-βおよびATRA を添加した培地で48 時間培養する。これらの補助因子で前処理された口腔癌細胞のゲムシタビンによるアポトーシスの誘導をWST-1 細胞増殖試験で解析し、同剤によるアポトーシスの誘導を増強する補助因子についてin vitro でスクリーニングを行う。マウス口腔癌細胞株SCC7 を用いて口腔癌担癌マウスに対して、①ゲムシタビン単独、②ゲムシタビン+IFNγ前投与、③ゲムシタビン+IFNα前投与、④ゲムシタビン+IFNβ前投与、⑤ゲムシタビン+ATRA 前投与のグループに分類し治療実験を行う。評価する項目としては、a)担癌マウスの生存期間を確認することにより、各治療グループ間での治療効果を評価する。b)担癌マウスの腫瘍組織および顎下リンパ節から分離したT リンパ球をX 線照射により不活化したSCCVII 株と抗CD3/CD28 抗体存在下で共培養後、PMA/Ionomycin で再刺激をし、CD8 陽性T 細胞およびCD4 陽性T 細胞におけるIFNγの産生を細胞内染色で確認し、各治療グループにおけるTc1反応およびTh1 反応の有無の評価を行う。
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